スペインの戦術家がベルギー戦を高評価。「収穫は山口蛍と長澤和輝だ」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 中盤に下がったドリース・メルテンスから、ラインの裏を狙ってトルガン・アザールに浮き球のパスが出たとき、日本はオフサイドにかけられるはずだった。だが、左サイドバックの長友佑都がひとりだけラインを下げ、失敗。ディフェンスラインをコントロールするのは、原則的にボールから遠いサイドのセンターバックである。このときは幸いシュートまでいかなかったが、ラインを突破されることはトップレベルでは失点に等しい」

 原則のディテールが試合を決めるのだ、とエチャリは眉をひそめた。

「後半も、日本は安定した戦いを見せている。ベルギーに押され始め、オープンな展開にはなりつつあったものの、攻守のバランスは保っていた。

 ところが、選手交代で少しずつバランスを失う。

 後半17分、長澤和輝に代えて森岡亮太を投入。正直言って、長澤はひとつの発見だった。ポジショニングはほぼ完璧で、プレスに関してもどこで行くべきか、明確だった。その長澤から森岡への交代によって、日本の中盤のスペース配分が狂う。森岡はセンスを感じさせるが、クラシックな10番タイプで、ピッチに入るとトップ下的なポジション取りと判断をした。

 さらに後半23分、浅野に代えて久保裕也を入れる。久保も浅野より前目にポジションを取った。これによりチームとして全体に前がかりになってしまい、守備のバランスが崩れた。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る