長谷部誠と本田圭佑。タイ戦でハッキリ見えた日本の「修正ポイント」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Nakanishi Yusuke/AFLO SPORTS

 清武弘嗣、宇佐美貴史、原口元気が競い合う恰好になっている4-2-3-1の3の左も然り。見直すべきはそこではない。それ以上に、4-2-3-1の3の真ん中と右のほうが問題に見える。不動のスタメンである香川真司と本田圭佑こそ、メスを入れるべき箇所になる。

 UAE戦後の原稿でも触れたが、とりわけ本田は困った状態にある。ポジションをフリーに移動し、王様のように振る舞う姿こそが、攻撃を滞らせる一番の原因だ。マイボールに転じるや、真ん中に入り込むと攻撃のルートはグッと狭まる。そして展開を経ずに、真ん中周辺にボールが流れていくと、その瞬間、期待値は半減。そこのところは相手もガッチリ守りを固めているので、崩し切ることはほぼ不可能だ。得点の可能性は限りなく低下する。

 弊害はまだまだあるが、それはともかく、惜しいシーンは作れる。この日のタイのように、相手のレベルが落ちれば、シュートにも何とか持っていくことができる。だが、ゴリ押しなのでゴールの枠を正確に捉えることは難しい。決定力の問題ではない。ゴールが決まらない原因は、何より攻めるルートのまずさにある。

 タイ戦の前日の記者会見で、UAE戦の戦いに触れたハリルホジッチは、「25本シュートを放ち、13回惜しいシーンを作った。16m以内のシュートも17本放っている。統計上、どの国にも劣らないビッグチャンスを作り出していた」と胸を張った。だが、タイ戦後の記者会見では一転、決定的機会を再三逃した理由について問われるや「集中力の欠如」を口にした。

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