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海堀あゆみが引退の理由を語る(後編)「どんなことにも意味がある、絶対に」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 こうした海堀の厳しさは個性のひとつでもあるが、多大な影響を受けたのは、偉大な2人の先輩GKだった。山郷のぞみ(元なでしこジャパン)と福元美穂(湯郷ベル)。海堀が初めて身近に接したGKだ。

 初めて出会った2008年から、この2人は海堀にとって絶対的な存在となった。海堀いわく、2人のストイックさには勝てる気がしないのだそうだ。2人に聞けば違う答えが返ってきそうなものだが。

「それでも追いつけなかったな......自分もこうなりたいって思える2人だった。散々迷惑かけましたけど(笑)。19歳の途中で代表に入れてもらって、一番初めに影響を受けた人で、最後まで影響を受けた人。これもめぐりあわせだったのかな。正直、最初はこんなにGKやると思ってなかったですから(笑)」

 北京五輪選考の際、2つのGK枠を争った結果、海堀と福元が選出された。大ベテランで、なでしこの精神的柱となっていた山郷の落選は、誰も想像していない中での出来事だった。選手全員がショックを受けた。駆け出し中の駆け出しである海堀は望むと望まざるとに関わらず、強制的に複雑な立場に立たされた。ある意味、マイナスからのスタートだったといってもいい。

 しかし、因縁の3人は、徐々に互いをリスペクトし合うようになっていく。2人とともに成長してきた海堀にとって、やはりなでしこジャパンは所属チームとはまた違った"特別"な場所だ。だからこそ、恐怖心に打ち勝てない自分はそこにいるべきではない、そう判断したのだ。

「正解だって言い聞かせていたけど、試合に出ることが本当に正しいかわからなかった。でも、そんな中途半端な覚悟で立つべきではないし、立っていい場所じゃないんです、なでしこのあの場所は」

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