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優勝でも事態は深刻。サッカー五輪代表「いまそこにある大問題」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki  松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburou

 たとえば、イラクのアリ・アドナンなどは、その代表である。過去の対戦で常に日本が苦しめられてきた大型レフティは、イタリア・セリエAのウディネーゼに所属しており、今大会を欠場。イラクは代わって経験の乏しい選手を起用せざるをえず、左サイドのやり繰りに苦労していた。

 いずれにしても、今回の開催方式が日本にはプラスに働いたことは間違いない。

 もしロンドン五輪以前のようなホーム・アンド・アウェー方式だったら、結果は違うものになった可能性は十分にある。現状のアジアにおける(この世代の)力関係を考えれば、日本はあらゆる意味でうまく戦った。100点満点どころか、120点をつけてもいいと思う。

 とはいえ、それはあくまでも、現状の力関係を認めたうえでの話である。

 言い換えれば今大会は、「もはや日本はアジアにおける絶対的な強者でない」ことを、思い知らされた大会だったと言っていい。

 日本は今大会で6試合を戦ったが、そのうち主導権を握って試合を進められたのは、グループリーグ第2戦のタイ戦くらい。あとの試合は、相手に攻め込まれる苦しい時間が続いた。初戦の北朝鮮戦を筆頭に、相手の拙攻に助けられた面があったことは否めない。

 それでも、ある程度守備に回る時間が長くなるのは構わない。U-23代表は岩波拓也、植田直通、奈良竜樹と優れたセンターバックが揃った、日本では稀有な世代。それを考えれば、このチームの長所を生かした戦い方だったとも言える。

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