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原口元気、ドイツでの苦悩「こんなに自信を失ったのは人生初」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun

「なかなかコンディションが上がらなくて、ポンッと途中で試合に出されても走れないし、自分のプレイができない。かなり悩んで、友人にも電話で相談したけど、近くで見ているわけじゃないから、自分がどういう状況なのか、本当のところはわからない。レッズにいたときは、身近な人がアドバイスをくれたり、(苦しいときに)助けてくれる仲間がいたりしたけど、ドイツでは自分ひとりで解決しなければいけなかった。それで、『どうしたらいいだろう』って考える時間が本当に長くなりましたね。『このままダメなら、レッズに帰ることになるのかなぁ......』と思ったりもした。とにかく、自分のサッカー人生で、こんなに悩んで、自信を失ったのは初めてでした」

 うまくいかない現状に加えて、慣れないドイツ語でしかコミュニケーションを取れない環境の中、以前の原口であれば、内に溜まったストレスを爆発させていたかもしれない。だが、ドイツでそれをやってしまうと、「すべてが終わってしまう」と思い、不安や苛立ちなどの感情は、完全に自分の中に封じ込めた。

「レッズにいたときのように、みんなと通じ合うことができていたら、少しくらい暴れても、『元気はこういうヤツだから』って理解してもらえる。でも(自分のことを知らない)ヘルタでは、それは通用しない。(選手やスタッフと話すには)ドイツ語しか通じないから、100%コミュニケーションが取れているわけじゃないし、サッカーの深い話とかもできているわけじゃない。そんな状況で暴れたら、『あいつ、どうしたんだ』って、単なる変なヤツに思われてしまう。それで、負の感情は、ずっと自分の内にしまっていました」

 さまざまな問題を抱えて、いよいよ原口の"負の感情"は限界まできていた。前半戦を終了する頃には、「このまま試合に出られず、クビになってしまうのではないか......」という危機感に苛(さいな)まれることになった。そこで、原口は決断した。

「後半戦にすべてを賭けようと、1月のキャンプから"走る"ことに重点を置いて練習に取り組んだんです」

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