原口元気、ドイツでの苦悩「こんなに自信を失ったのは人生初」

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun

原口元気インタビュー(前編)

「十分、やれると思います」

 昨夏、自信をたぎらせて浦和レッズからドイツの古豪ヘルタ・ベルリンに移籍した原口元気(24歳)。その言葉どおり、2014-2015シーズンのブレーメン(2-2)との開幕戦から先発出場を果たし、チームの2得点に絡む活躍を披露。今後に期待を抱かせる幸先のいいスタートを切った――ところが、その試合中に右肩を負傷し、3週間の離脱を余儀なくされた。そこから、原口の苦悩の日々が始まった。

「スタートは悪くなかったです。でも、ケガから復帰したあと、球際で負けたり、"抜いた"と思っても、相手の足に引っかかって(ボールを)取られたり、すぐにふたり目(の敵)が来て止められたり、Jリーグにはない迫力に戸惑ってしまいました。また、それ以上に、ヘルタの戦術に自分がフィットできなかったことが痛かった。ヘルタは守ってカウンターというサッカーなので、サイドの選手は守備の際、サイドバックの位置まで下がるんですよ。そこまでいって(味方が)ボールを奪うと、今度は爆発的なスピードを駆使して50~60m走って前に出て行くんですが、ゴール前で受けたときには、もうフィニッシュのパワーが残っていない。相当きつくて、これで活躍するのは大変だなって思いました」

入団当初はヘルタ・ベルリンの戦術にフィットできなかったという原口元気。photo by Getty Images入団当初はヘルタ・ベルリンの戦術にフィットできなかったという原口元気。photo by Getty Images 序盤戦の6試合を終了して10月に入ると、原口の名前は先発から消えた。後半30分前後からの途中出場が、お決まりになっていった。自ら語るように、原口は守備からいざ攻撃に切り替わったときに、パワーロスを起こして本来のプレイを発揮できなかった。それが、ルフカイ監督には物足りなく感じられたのだ。

 原口は、現状を打破するにはどうしたらいいのか、悩む時間が増えていった。

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