いよいよW杯。残り10日間でなでしこは完成する (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 そして最大の関心を集めていた澤は、巧みなフェイントでDFをかわしながら、宮間あや(湯郷ベル)の左CKに中央エリアでしっかりと合わせてゴールを決めてみせた。ここぞというときにゴールを決める――澤はその存在感を強烈なゴールで甦(よみがえ)らせた。

 日本唯一となったこのゴールより、澤の完全復活をイメージ付けたのはやはりスライディング。相手が仕掛けに入った際、いて欲しいと思う場所で鋭いスライディングを決めて、敵の進行を止める。この嗅覚こそ澤の真骨頂だ。この動きが出てくれば、攻守において澤のポジショニングは絶妙さを極めていく。初戦のピッチにはそんな澤の姿があった。

 しかし、全体を見れば、リズムのあった時間帯に追加点の形を作りながらも、シュートにまで持ち込めない回数が多かったことと、守備のもたつきは否めなかった。

 第2戦は場所を長野に移してのイタリア戦。この日、秀逸な動きを見せたのはここまでケガで部分的に別メニューを組み込むなど、コンディションが心配されていた阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)だ。澤とのボランチコンビはやはり安定感があった。相手の攻撃を勢いづかせる前にブレーキをかけ、一気に攻撃へ転じる。阪口と攻撃のキーマンである宮間の距離感もよく、「逆サイドへの展開は意識した」と本人が言うように、サイドへの展開も効果的だった。

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