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今野&吉田を脅かす森重真人「ふたりを蹴落とす覚悟でいる」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 今野と吉田からレギュラーの座を奪う決意をした森重だが、ふたりのプレイ、自身との違いについてはどう見ているのだろうか。

「コンちゃんの良さは、最終ラインに立つ人間としてのプレイの正確さ、ですね。DFとしての優先順位をしっかりと守れる。一見地味なことのように思えますが、それがDFにとっては一番必要なことなのかなって、(今野のプレイを見て)痛感させられました。今後は、その辺のことを吸収していきたいですね。麻也は、前に対しての強さ、(相手選手の)足もとへの厳しさが、一緒にやってみて、すごいな、と思った。ふたりは、それぞれ個性があるし、プレイの特徴も違う。僕はどちらも尊敬しています。だからといって、ふたりに劣っているとは思っていません」

 2013年10月、東アジアカップ組が加わってから初の欧州遠征では、FWの柿谷以外は、既存のメンバーが先発に名を連ねた。新たな選手の出番は限られ、森重もベラルーシ戦の後半だけの出場に終わった。閉塞感に覆われたチームのテンションは下がり、セルビア(0-2)、ベラルーシ(0-1)相手に連敗した。

「セルビア戦とベラルーシ戦は、いろいろな選手が加わってきた中で、お互いを生かすためには、もっとこうしたらいいんじゃないのか、というテーマもあって、それにチャレンジした試合だったんです。しかもその頃は、世界で戦ううえで、守備的なチームから攻撃を重視するチームへとちょうど変換しているときだった。だから、失点が増えて、結果にもつながらなかったのかな、と思います。でも、チームの中にいる選手は、一歩ずつ階段を上っているのを実感していたので、周囲が言うほど、ストレスは感じていなかったですね」

 だが、2試合を終えたチームに対して、メディアの反応は厳しかった。とりわけ、ザッケローニ監督へのバッシングは強烈だった。森重はそのとき、日本代表というチームの影響力の大きさを、改めて肌で感じた。

「代表は(クラブとは)注目度が全然違う。結果を出さないと、周囲が相当うるさくなる。だからこそ、次のオランダ戦、ベルギー戦は結果を出さないといけないと思いました。同時に、(それだけ注目されているチームの)試合に出たいって、すごく思いました。選手であれば、もちろんいつも試合には出たいんですが、あのときはそれまで以上に試合に出て、自分の力を試したい、チームに貢献したい、と思ったんです」

 続く11月の欧州遠征で対戦する、オランダとベルギーの試合は、2013年の代表の締めくくりとなる。森重は、そこでアピールしたい気持ちが強かったが、それ以上に代表でも十分にやれる手応えを得てきた状況で、世界相手にどれだけ戦えるのか、サッカー選手としてのピュアな欲求が高まっていたのである。

(つづく)

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