2014.01.15

今野&吉田を脅かす森重真人「ふたりを蹴落とす覚悟でいる」

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

ブラジルW杯まで148日
『ザックジャパンの完成度』
連載◆第28回:森重真人(前編)

 2013年7月、東アジアカップに挑む日本代表に招集されたFC東京のDF森重真人。国内組中心で編成されたチームの中でDF陣を統率し、日本の優勝に貢献した。その後、日本代表に定着。今野泰幸と吉田麻也で不動だったセンターバックの間に割って入ろうかという勢いを見せた。

 わずか半年の間に、一気にレギュラーを脅かす存在になった森重。日本代表メンバーとしての手応えと、ブラジルW杯についてどう考えているのだろうか――。

日本代表のレギュラー獲りに意欲を見せる、FC東京のDF森重真人。 振り返れば、昨年の東アジアカップ。代表経験豊富な横浜F・マリノスのDF栗原勇蔵とセンターバックでコンビを組んだ森重の動きは、とても新しく招集された選手とは思えないほど慣れた感があった。

「東アジアカップの前から、何度か(代表に)呼ばれるって言われていたけれど、なかなか呼ばれなかったので、『もう代表には入れないだろうな』『(ザッケローニ監督は)オレのこと嫌いなのかな』って思っていたんです。でも、気になって代表の試合は見ていて、自分が入ったときのプレイのイメ-ジは膨らませていたんです。

 守備については、ラインの上げ下げやポジショニングについて注意深く見ていましたし、攻撃面においても細かく観察していました。例えば、センターバックが(ボールを)持ち上がるときは、サイドバックと連係しながら、中に入ってくるサイドハーフにパスを出すとか。代表の試合を見ていると、明らかにその攻撃パターンが多かったので、たぶん決まり事としてやっているんだろうな、と思っていました。他にもいろいろと情報を収集していて、実際に代表に呼ばれて練習に参加すると、ほぼ自分のイメージどおりでした。だから、(初招集でも)迷うことなくプレイできました」

 個人的にはザッケローニ監督のサッカーを理解していたとはいえ、サッカーは周囲との意思疎通、コンビネーションが不可欠だ。それを熟成させる時間がない中で、結果を出せるかどうか、不安はなかったのだろうか。

「東アジアカップの代表は、国内組だけの、即席で作られたチームだったけれども、チームとしても、個人としても、結果を出すことを求められた。ただ自分は、FC東京でのプレイを認められて、(自分の)特徴をわかってもらえたうえで呼ばれたと思っていたので、そこまで個人をアピールする必要はないかな、と思っていました。というのも、1試合の中で、数本のパスを前線に出せば、『こいつはパスを出せるな』とか、何回か相手と競り合ってボールを奪えば、『こいつはボールを奪えるな』とか、もともと監督の中に(選手たちの)印象やイメージがあって、それを確実なものにする作業の場だと思ったからです。

 それでも、結果的に優勝できたのは良かった。多少の不安はあったけれど、(大会を通して)充実感があったし、こうしておけば良かったという後悔をすることはなかった。まあこれで、その後(代表に)選ばれなければ、仕方がないな、と。そういう運命だって、割り切れるぐらい、やれた自信がありました」