森重真人が短期間で感じた「ザックジャパンの変化」
ブラジルW杯まで147日
『ザックジャパンの完成度』
連載◆第28回:森重真人(後編)
2013年10月の欧州遠征で、セルビア戦(0-2)、ベラルーシ戦(0-1)と2連敗を喫した日本代表。その不甲斐ない戦いぶりには、ザッケローニ監督の解任騒動まで起こった。そうした状況の中、日本代表は翌11月にも欧州遠征を実施した。対戦相手がオランダ、ベルギーという世界トップレベルの強豪国とあって、戦前はかなり悲観的に見られていた。
だが、オランダ戦で日本は、0-2という状況から追いつき、2-2で引き分けた。2009年の岡田ジャパンのときは、0-3で完敗した相手。当時から比較すると、格段にチーム力が上がっていることを証明した。
森重真人は「夢だった」というW杯のピッチに立てるか。 そのオランダ戦、森重真人の出番はなかったものの、続くベルギー戦では、吉田麻也とコンビを組んで、センターバックでスタメン出場した。10月の欧州遠征後、「試合に出て、チームに貢献したい」と決意していた森重は、その思いを前面に出して奮闘。3-2の勝利に貢献した。
「ベルギーは前評判がすごく高くて、どれだけ強いチームなんだろうって思っていたけれど、いざ蓋を開けてみると、想像していたほどではなかった。手応え? う~ん、どうなんですかねぇ......。ただ、ああいう強い相手には、自分の力をすべて出さないと意味がないと思っていたので、相手にやられることやミスを恐れずに、とにかく自信を持ってチャレンジすることを心掛けました。その結果、いいプレイもあったけれども、パスミスでボールを奪われてシュートまで持っていかれるシーンもあった。それも、チャレンジしてみてわかること。そういう意味では、自分なりにはチャレンジできた試合だったと思います」
ブラジルW杯欧州予選では、クロアチア、セルビアらと同組で、断トツの1位通過を果たしたベルギー。当時のFIFAランキングは5位だった。そんな世界トップレベルのチームに勝ったものの、試合後のミックスゾーンでも森重の表情に笑みはなかった。結果を出しながら、森重は何に納得していなかったのだろうか。
「試合に勝ったのはいいことですが、相手が本気ではなかったというのは、みんながわかっていることなんで。親善試合で勝ったからといって、それがW杯の結果につながるわけではないですから。連敗中だった代表が、周囲の『やばい』という声をしずめるためには良かったんじゃないかな、というくらいの思いしかないですね」
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