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【日本代表】山田大記(ジュビロ磐田)「W杯出場のために今の日々がある」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 一流のプロとは? そう訊ねると、彼は即座にこう答えた。

「己を貫けることです」

 山田は読書家で、中でも哲学書を好むという。ブログでは『超訳ニーチェの言葉』(白鳥春彦・ディスカバリー・トゥエンティワン)からしばしば文章を引用している。好奇心が強く、学習意欲も旺盛だ。ただ、その人生観は物真似ではない。書を読んでも、人の話は聞いても、彼の中で常に答えは出ている。

「自分はピッチで熱くなるといいプレイができない。例えば負けた状態でネガティブに考え始めるとプレイが慌ててしまってダメになる。だから、どんなときも冷静にプレイすることを心掛けていますね。それはキャプテンとしてチームをまとめるときもそう。もちろん、強いチームはぶつかり合うような部分があるし、激しさが必要なのも分かっています。そこは自分なりに計算しながら」

 山田は見かけ通りの優等生ではない。したたかさは堂に入っている。探求して出した答えを持つ人間は転んでもすぐに起き、瞠目するほどの力を発揮するものなのだ。

 12月15日、天皇杯の鹿島アントラーズ戦。先発した山田は積極的な仕掛けから、チーム最多のシュートを放ち、攻撃を活性化させた。右サイドを基本にしながら、中央、左にも顔を出し、中心選手としての存在感を放った。しかしこの日は無得点、チームは1-3と敗れ、目指していたACL出場の可能性も消滅した。

「ブラジルW杯出場は、自分にとって実現しないといけないこと。そのために今の日々がある」

 そう確信を込めて語る青年は、この敗北でさらにまた強くなるかもしれない。

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