【日本代表】山田大記が明かすブラジルW杯への野望

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

1988年12月27日、静岡県生まれ。藤枝東高、明治大学を経てジュビロ磐田へ1988年12月27日、静岡県生まれ。藤枝東高、明治大学を経てジュビロ磐田へブラジルW杯を狙う刺客たち(1)~山田大記(ジュビロ磐田)~前編

 メンバーが固まりつつあるザックジャパンには、彼らの座を脅かすような存在が必要だ。候補者はいる。代表の座を狙う若きプレイヤーたちの肖像に迫る。

 24才の青年は、素直で礼儀正しい。例えば試合に敗れた後には、アウエーゲームの声援に駆けつけてくれたサポーターの前へ真っ先に挨拶に向かう。去り際も申し訳なさそうに振り返り、深々とお辞儀をして礼を尽くす。「真面目」「生徒会長」「優等生」と評判は良好。入団1年目で10番を背負い、2年目にして主将を任されるようになった理由は、"良くできた"人間性にあるだろう。

 一方でチームメイトからは、「腹黒い」としばしば揶揄される。同年代から見て"立派"に映ってしまうから、"本当はろくでもないことを企んでいるのではないか"と訝(いぶか)しがられるのだ。

「代表戦をテレビで見ていると、もどかしくて。しまいには自分に腹が立ってくるんですよ。"代表に入ったら必ずやれるはずなのに、自分はテレビの前でなにをしているんだ"って」

 そう白状する彼は、単なる好青年では括(くく)れない。

「"自分は誰にも負けていない"って自信はいつも持っていますから。自分が自分を信じなければ、誰が信じるのか。プロに入ってから思ったのは、自信のない選手がたくさんいること。人間は周りの励ましやらがあってこそやっていけるものだとも思うけど、結局プロは自分次第。人任せでは長くやっていけない。だから僕は常に自分を信じることにしているんです。かなりポジティブな考え方ですよ」

 自分を疑わない野心家は、はたしてどこに辿り着こうとしているのだろうか。

 山田大記はJ1リーグ、ジュビロ磐田で攻撃の核を担っている。11年シーズンに明治大学から入団して以来、進境著しい。1年目でエースナンバー10を与えられたルーキーは、先発の座を確保、5得点と攻撃を牽引した。2年目の昨シーズンは9得点を記録。これはMF登録選手としてリーグトップ3に入る数字で、さらにゴールアシストやドリブル成功率もリーグ指折りと、注目を集める。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る