【日本代表】山田大記が明かすブラジルW杯への野望 (2ページ目)
「大記を左利きだと思っている人もいるんですけど、あいつは右利き。ただ、左足でかなり強烈なシュートが打てるんです。自分のキャリアの中でたくさんの攻撃的な選手を見てきましたけど、ちょっと見たことのない選手だと思いますね。ドリブルのコース取りは読みにくいし、パスも、シュートもどれもレベルが高くて。本当に将来が楽しみですよ」
磐田で1年間共にプレイしたCBの古賀正紘は、言葉を尽くして褒め称えている。
「俺を超えるのは間違いないよ」。かつて黄金時代のジュビロで10番を背負った藤田俊哉も、"後継者"山田の才能には高い評価を与えている。
「両足で精度の高いキックができて、体の使い方が柔軟で、しかも(シュートに)パンチ力もある。俺の時代のJリーグでは、あまり見なかった選手だね。すでにポテンシャルの高さは証明しているから、今後は日本を代表するような規格外の選手になっていって欲しい」
12年4月、アルベルト・ザッケローニ監督が率いる日本代表候補合宿にも招集されるなど、その才能に疑いの余地はない。招集される前の試合、横浜F・マリノス戦では日本を代表するディフェンダーたちの度肝を抜くようなミドルシュートを叩き込んでいる。二列目の攻撃者としては、香川真司、岡崎慎司、清武弘嗣らが競争相手になるだろう。実績、経験では劣るが、才能は欧州のトップリーグで活躍する選手たちにひけをとらない。
「(11年に)プロに入ったとき、ブラジルW杯をすでに見据えていたんです。ただ、ここまでの歩みは想定していたよりも少し遅れてしまっているというか」
渋い表情を浮かべて言う山田は、頭の中で数字を叩いた。
「(14年の)ブラジルW杯まで逆算して、まず1シーズンはクラブで活躍し、それが2年目まで続けば代表に選ばれる......そこまでは、計算通りだったんです。でも、その後はコンスタントに呼んでもらえていない。自分が不甲斐ないです。大会まで1年半と時間はなくなってきていますから、13年は代表戦に出ていられるようにしないといけません。ブラジルW杯は26歳で迎える大会。選手として最高にいい時期だと思うんで逃したくはないです」
彼は赤裸々に野望を吐露する。ただ、尖っているわけではない。理路整然とした人生設計で、保険のセールスマンがプランを説明しているようでもある。老成した口調がそうした印象を与えるのだろうか。
しかし、山田は思い通りの平坦な道を歩んできたわけではなかった。
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