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【日本代表】今野泰幸「『W杯優勝』という意識を11人が持っている」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

「チームの練習ですよ」
 今野は、即答した。

 例えば、トップにボールを当てて、落としたボールを2列目の選手が受け、周囲の選手が3人目の動きをして裏を狙うパターン練習がある。その際、ザッケローニ監督は、時間の限られた代表練習でありながら、レギュラー組とサブ組を分けることがなく、ひとつのチームとして、同じパターン練習を繰り返すという。

「だから、誰とやってもチームのやり方が浸透しているんですよ。しかもそういう練習を何度も反復しているので、最近はあうんの呼吸というか、自然とそれができるようになってきた。もちろん、裏に飛び出す判断などは、試合になったら個人の判断に委(ゆだ)ねられますが、今はみんなが海外とかでいろんな経験を積んでいるから、その辺の判断がすごくいい。最近は、ゲームの中でもそのよさがどんどん出てくるようになってきた。(最終予選の)オマーン戦(3-0)やヨルダン戦(6-0)がそうだったじゃないですか。だから、攻撃は本当に成長したな、と思いますね」

 今野が攻撃における成長を感じ始めたのは、昨年制したアジアカップ(1月)からだという。その後、W杯3次予選ではベタ引きされた北朝鮮やウズベキスタンに苦杯を舐め(ともに0-1)、引いた相手をどう崩すかというのは、ひとつの課題となった。しかしそれも、最終予選のオマーン戦やヨルダン戦で大量得点を挙げて解消した。そうして着実に成長している攻撃は、今の代表では最大の強みになっているという。

「みんな、経験もあるし、連動した動きがすごい。最近の攻撃は後ろから見ていても心強いし、確かに今の代表の強みだと思う。1点くらいならすぐに取り返してくれるんじゃないかという雰囲気がいつもありますからね」

 となると、攻撃に関しては、自分たちが目指すところに到達しつつあるということなのだろうか。

「レベルは高いけれども、まだ課題はあります。それは攻撃というか、チームとしての戦い方の部分なんですが、特にアウェー戦ですよね。オーストラリア戦(1-1)も1-0で試合が進んでいく中で、もう1点取って勝負を決めてしまうくらいにならないといけない。それだけの力をつけたい」

 一方、守備はどうなのか。ザッケローニ監督のスタイルは、基本的にラインを高く保ち、全体をコンパクトにして守ることを重視している。ボールの奪い方は、前線からプレスをかけて、サイドに追い込み、ボランチと連携して奪うのが基本だ。

「守備も悪くないと思います。(監督から)特に求められているのは、ラインの上下を狭く保って、しっかりラインをコントロールすること。それは、監督に昔も今も厳しく言われていますけど、アジアカップの時から比べると、徐々にスムーズになってきているし、(吉田)麻也との息も合ってきた。この2年近くの積み重ねの成果だと思います。チーム全体の守備の意識も高いので、正直、攻守のバランスは、今すごくいいですね」

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