【プロ野球】第一子に「賢造」と名づけたオリックス・エスピノーザが語った日本愛とアメリカ復帰への本音 (3ページ目)
生まれてくる息子をどう迎え、家族として幸せになっていくか。そうして決めたのが、「ケンゾウ」という名前だった。
「漢字や意味も調べた。『賢(ケン)』は知性や知恵、『造(ゾウ)』は創造する、つくり出すという意味。その2つの文字を組み合わせて、赤ちゃんに名前を授けた」
賢造が生まれ、エスピノーザは父になった。現在28歳。日本にやって来て、野球も私生活も充実している。
【家族とともに描く未来図】
では、今後はどうするのか。かつてトッププロスペクトとして期待されたアメリカで、もう一度挑戦したいのか。あるいは、大好きな日本で野球を続けていきたいのか。
「正直、今はアメリカのことをそこまで考えていない。今、自分は日本にいるし、気持ちも日本にある。現在、自分が集中すべきことは、ここでしっかり結果を出すこと。しっかりやっていけば、日本でも、どこでも仕事はあるだろう。
アメリカに戻りたいか? もちろんだよ。でも、それはネガティブに考えているからではないんだ。自分は日本ですごく適応できている。日本も、そして日本のファンも好きだ。できるだけ長く日本でプレーしたい。現役生活の最後まで日本で過ごしてもいいと思っている。でも別のオファーが来たら、ビジネスとして考えなければいけない。わかるだろ?」
16歳でMLB球団と契約してから努力を重ね、日本で才能が花開いた。野球選手として全盛期に差し掛かっている。さらに経験を重ねれば、円熟味を増していくだろう。
アメリカにいる頃には想像さえしなかった日本でプレーするようになり、文化や街、人々が大好きになった。大切なチームメイトがいる。新しい家族もできた。今、暮らす場所に幸せはある。それが2026年現在のエスピノーザの現在地であり、人生はこの先も続いていく。
「自分の家族も、これから成長していく。今は賢造がいるけど、次は男の子か女の子が増えるかもしれない。そうなると、家族の将来を考えなければいけない。子どもにとって、どこの学校で学ぶのがいいか。どこで育ち、成長していくか。家族にとってベストは何か。そのためにはどこで暮らすのがいいか。どの球団がよりよい条件を提示してくれるのか。どこに行けば、より幸せに暮らせるのか。いろんなことを、家族で考えて決めていかなければいけない。アメリカに戻りたい気持ちはあるよ。でも同時に、日本でキャリアをまっとうしたい気持ちもある」
自分に正直に、周囲に感謝しながら、これからも人生を前向きに生きて学んでいきたい。エスピノーザが明かしたのは、率直な胸の内だった。
アンダーソン・エスピノーザ/1998年3月9日生まれ、ベネズエラ出身。2014年にレッドソックスと契約してプロ入り。将来を嘱望されるトッププロスペクトとして注目を集めたが、2度のトミー・ジョン手術を経験。パドレス、カブス傘下などでプレーしたのち、24年にオリックスへ入団した。長身から投げ下ろす力強いストレートと多彩な変化球を武器に先発ローテーションの一角として活躍。来日3年目の2026年にはパ・リーグを代表する先発投手へと成長し、安定した投球でチームを支えている。日本への愛着も強く、第一子に「賢造(けんぞう)」と名づけたことでも話題となった。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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