【WBC】「世紀の誤審」「韓国との因縁」「キューバとの決勝」 渡辺俊介が明かす世界一までの知られざる物語 (3ページ目)
── 当時の韓国代表には朴賛浩(パク・チャンホ)、李承燁(イ・スンヨプ)、金泰均(キム・テギュン)、李鍾範(イ・ジョンボム)など、日本で馴染みの選手も多かったですね。
渡辺 捕手が里崎智也(ロッテ)だったので、そういう主力打者に対してどう攻めるかは、すごく整理しやすかったです。特別なことをするより、シーズンでやってきた時と基本的に同じ配球でした。
── 特に李承燁選手は、チームメイトとして一緒にプレーしたこともありました。
渡辺 とにかく好打者なので、内角の厳しいコースを突いて崩していこうと、サト(里崎)との間で決めていました。結果的に抑えることができましたし、準決勝の韓国戦では上原さんが完璧な投球(7回無失点、8奪三振)で封じてくれた。あの試合も含めて、サトのリードがしっかり生きていたんじゃないですかね。
── あのWBCは、イチロー選手の「向こう30年、日本に手を出せないような勝ち方をしたい」という発言が韓国側に曲解され、強い敵対心をあおる形になりました。さらに第2ラウンドで韓国が日本に勝利した際、マウンドに国旗を立てるパフォーマンスがあり、イチロー選手が「僕の野球人生で最も屈辱的な日」と語るなど、両国の緊張感が一気に高まる出来事もありました。
渡辺 本来、イチローさんが伝えたかったのは「日本野球のレベルの高さを証明したい」というニュアンスだったと思うんです。ただ、韓国の選手にとっては日本戦に勝つことで兵役免除など大きな報奨があるとも聞きましたし、さまざまな背景が重なって、反発がイチローさんひとりに強く向いてしまった印象がありましたね。
【アメリカ戦での世紀の誤審】
── 第2ラウンドでは、2番にデレク・ジーター(当時・ヤンキース)、3番にケン・グリフィー・ジュニア(当時・レッズ)、4番にアレックス・ロドリゲス(当時・ヤンキース)を擁するアメリカと戦い、いわゆる「世紀の誤審」とも言われる判定があり、3対4で敗れました。あの場面で、選手たちはどのような反応を見せていましたか。
渡辺 2006年のWBCでの日本チームに対する期待値は低く、マスコミの報道も「ベスト8にいければすごいよね」という程度でした。東京ラウンドでは観客もまばらで、選手たちも「こんなものかな」と思っていた部分はありました。
私自身、メジャーリーガーと対戦した経験はほとんどなかったので、アメリカ戦ではジーターやA・ロッドを目の前にして「かっこいいな」と感じたんです。でも、イチローさんは違っていて、最初から「世界一を狙うぞ!」という気持ちがあったと思うんです。
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