検索

【プロ野球】3度の手術、2度の地獄を越えて 近藤弘樹が「投げられない日々」の先にスタートした第二の野球人生 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

「この時は、ボールを投げられることがうらやましいという気持ちがありました。自分はもう40メールも投げられなかったですから。でも、ずっと野球をやってきて、こうして投げられているのは『じつはふつうのことじゃないんだよ』と、彼らにそのことを伝えたい気持ちがあって、自虐的に言った部分もありました。今年、キャンプの時にボールを投げましたが、痛くて投げられなくて......それからは投げていません(笑)。明日は車で4時間かけて、秋田に行ってきます。またどこかで会いましょう」

 ヤクルトが6年ぶりの優勝を達成した2021年シーズン、近藤の22試合のピッチングは今も色褪せることはない。

 『怪物 江川卓伝』(著・松永多佳倫)
令和に蘇る怪物・江川卓の真実──。
光と影に彩られた軌跡をたどる評伝が刊行!
高校時代から「怪物」と称され、法政大での活躍、そして世紀のドラフト騒動「空白の一日」を経て巨人入り。つねに話題の中心にいて、短くも濃密なキャリアを送った江川卓。その圧倒的なピッチングは、彼自身だけでなく、共に戦った仲間、対峙したライバルたちの人生をも揺さぶった。昭和から令和へと受け継がれる“江川神話”の実像に迫る!

著者プロフィール

  • 島村誠也

    島村誠也 (しまむら・せいや)

    1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。

フォトギャラリーを見る

4 / 4

キーワード

このページのトップに戻る