【プロ野球】ゼロからの挑戦、若手との絆、亡き恩師への想い...田中健二朗が「幸せだった」と語った第2のプロ野球人生 (2ページ目)
「やっぱり、自分から積極的に行動ができる選手は伸びますよね。僕自身、若い時はずっと言われるがままにやってきて、そういうもんだろうって思っていたんですよ。本当、子どもでしたよね。けど、結果が出ず、いよいよ切羽詰まった時に、自分から『教えてください』って、当時ファームの投手コーチだった木塚(敦志)さんにお願いをしたんです。それからですよ、自らいろいろ考え、自分のなかに落とし込んでいくことができるようになったのは。結果、それが今の僕につながっている。だから、わからないことを聞いたり、教えてもらったりすることは本当に大事だなって」
【ハヤテから阪神へ入団した早川太貴との思い出】
田中に積極的に教えを乞うた選手のひとりが、ハヤテからNPBドラフト入団第1号となった早川太貴(阪神)だ。早川は今年頭の入寮の際、田中のサインが入ったハヤテのキャップを持ち込み「健二朗さんからプロとしての姿勢、マウンドでのことなど学びました」と語っている。
また、引退会見のビデオレターにも登場し、「あの(ドラフト)指名は、健二朗さんのおかげといっても過言ではありません」と述べている。その画面を見つめる田中の目は温かいものだった。
阪神に育成契約で入団した早川は、ファームで好投を見せ、7月に支配下登録された。8月27日のベイスターズ戦(横浜スタジアム)でプロ初先発となるマウンドに立つと5回無失点の好投を見せプロ初勝利を飾っている。
「早川の活躍は、自分のことのようにうれしいんですよ」
田中は相好を崩しながら言った。
「彼はこういう環境にあっても、決して努力を止めることなく、また、わからないことをそのままにはせず、僕や経験が豊富な(コーチ兼任の)藤岡(好明)さんに聞いてくるんですよ。的確なアドバイスができたかどうかはわからないけど、彼はそれを自分なりに解釈してプレーに生かすことができる本当に能力の高い、いい選手だと思いました。初先発で初勝利を挙げましたが、ベイスターズ相手で、しかも横浜スタジアム。何か自分とダブるものがあって、感慨深いものがありましたね」
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