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【プロ野球】広島・大瀬良大地が語る「投高打低」のリアル 150キロ超のリリーフ、長打減少、データ活用の投球術 (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 実際、昨年の大瀬良は155回を投げて被本塁打は5本だった。これまで、被本塁打は1年目の2014年に20本、18年に22本、22年に18本で3度のリーグワースト。比べてみれば激減したのだ。

「もちろん、バッターそれぞれの特性、役割があると思うんですけど、僕が1年目の頃、クリーンアップの選手は一発があって、振りが大きくてブーン!ってくるイメージがありました。今はどちらかというと、つないで、つないで、あわよくば右中間、左中間、抜いてツーベース、スリーベースっていう、中距離タイプの打者が多いのかなと。対戦していてそういうイメージがあります」

 一概には言えないにせよ、経験豊富な主力投手が、10年ほど前と今の中軸打者の違いを実感している。その違いは、球界全体で速い投手が増えたなか、両リーグ合計の本塁打数が年々減少しつつ、三振数も徐々に減っている、という事実と重なるだろう。

「やっぱり、強い真っすぐを大振りしてしまうと確率も悪くなると思うので。となると、バッターが当てにいくほうにシフトチェンジする。確かにそれはあるかもしれないですね」

【投手が持つデータ活用の優位性】

 では、"投高"の要因のひとつといわれる精密な測定機器。近年、球界で急速に普及してきたが、大瀬良自身はどこまで活用しているのだろうか。

「数字はよく見てます。以前は感覚だけでやっていたのが、今はもう、変化球の曲がり幅とか、リリースの場所とかもわかるので。たとえば、打たれてしまった時と、よかった時と、照らし合わることはあります。『ちょっとボールを離す位置が早かったね。見る時間が、バッターは長かったかもね』とか、そういう確認もできたりするんです。取り組み方がまったく変わりました」

 たとえば、大瀬良にとって最大の武器であるカットボール。その回転数はNPB平均よりも多いとされるが、球質を保つためには回転数の数字自体を意識するのか、それとも自身の感覚を優先するのか。

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