なぜセ・リーグは交流戦で総崩れしたのか 高木豊が各チームの課題と、活躍が目にとまった野手・投手を語った (3ページ目)
――ピッチャーはいかがですか?
高木 伊原陵人(たかと/阪神)はよかったですね。コントロールがよくて無駄なフォアボールを出さないので、打たれても大量失点する心配がありません。松葉貴大(中日)や吉村貢司郎(ヤクルト)、赤星優志(巨人)もよかったですが、いずれもパワーピッチャーではなくコントロール重視のピッチャーですね。
力で押すよりも、曲げたり、抜いたり、すかしたり、みたいなピッチャーがパ・リーグのバッターには通用していた印象です。逆に、髙橋宏斗みたいに速いボールを投げるピッチャーは、甘くなると打たれていました。
【各チームの今後の課題は?】
――リーグ戦が再開されますが、今後のセ・リーグの展開をどう予想しますか?
高木 セ・リーグの各チームが負けたことによって、順位やゲーム差は大した動きがありませんでした。交流戦で勢いづいたチームもないですし、結局このまま推移していくと思うんです。ケガ人が出ると、当然不利にはなりますけどね。
阪神の場合は、クリーンナップが機能しない時にどうやって点を取るかが課題。DeNAは先発ピッチャーがいいだけに、接戦が多くなると思うんです。そうなると足で点を取る形を作りたいところで、誰をベンチに置いておくかが最重要課題だと思います。例えば、三森大貴(まさき)。バッティングは物足りないのですが、足は使えます。そういった選手は、先発ではなくベンチに置いておくほうが1点を取れる確率は上がると思うんです。
――交流戦でセ・リーグ唯一の5割だった広島はいかがですか?
高木 広島はここ数年を見ても、課題がはっきりしています。シーズン終盤、残り30試合くらいになってからの失速は疲れが大きな要因なので、夏場にいかに打ってピッチャーを助けられるか。今年はサンドロ・ファビアンとエレウリス・モンテロがいるほか、先ほど挙げた大盛も出てきましたし、その控えには秋山翔吾もいる。そう考えると、昨年よりは心強いですよね。
ただ、交流戦の後半、森下暢仁(まさと)や床田寛樹らに疲労を感じました。彼らが昨年みたいな活躍をしてくれるのであればいいですが、今年は逆にピッチャーに課題がありそうな気もします。
3 / 4