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広島・中村奨成がプロ8年目の飛躍「飛ばしたい」「ホームランを打ちたい」を捨ててたどり着いた新境地 (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun

【体を崩されてもバットが出る】

── 昨季終了後の秋季練習では無駄のないフォームに取り組んだ時期もありました。

中村 自分のなかで試行錯誤しながらやっているつもりだったんですけど、どこか迷いや納得していないところがあったのかもしれません。秋季練習中に、新井(貴浩)監督から「没頭して取り組んでいるように感じない。前のフォームに戻しなよ」という話をしてもらったんです。フォームを戻すと、やっぱり自分が振り慣れた形なので、調整時期の秋季キャンプや春季キュンプでは打てるんですよ。プレッシャーもありませんし。

 でも、いざ開幕に向けたオープン戦が始まると、全然ダメだった。二軍に落ちてからも、全然よくなかったので、福地(寿樹)さん(二軍ヘッド兼打撃・走塁コーチ)と(新井)良太さん(二軍打撃コーチ)さんと話をしながら打撃フォームから見つめ直したんです。

── 二軍で着手したフォーム変更とは。

中村 今の形がいい、悪いではなく、あらためて「一軍の投手に対していいアプローチをしていこう」と。自分にとってはオープン戦でも結果が出ていませんでしたし、ガラッと変えようと腹をくくることができました。

── 言葉で表現できる変更点は。

中村 バットの出(ていく形や角度、姿勢)ですかね。自分が思ってところにスパッと出せるようになったんです。だから、たとえ崩されてもすんなりバットを出せる。一軍の投手との対戦では、自分のスイングをさせてもらえない打席もある。毎打席自分のスイングができるわけじゃない。そこでいかに崩されても、詰まらされてもヒットにできるか。そう考えた時に、まずバットの出がよくないと始まらない。

── 新フォームに手応えを感じたのはいつ頃ですか?

中村 練習から打球の質がよくなっていったんです。高い弾道ではなく、真っすぐの回転で角度のついたライナーの打球。試合に出る機会はそれほどありませんでしたが、練習のなかでよくなっていった感覚があります。

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