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大谷翔平とドジャースが挑む二刀流の「次なるステージ」 対話を重ねながら「休養」を組み込む思想とは

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Hideki Okuda

先発としてハイレベルなピッチングを続ける大谷翔平 photo by Kyodo News先発としてハイレベルなピッチングを続ける大谷翔平 photo by Kyodo News

前編:「休ませながら勝つ」大谷翔平の二刀流管理最前線

大谷翔平がメジャー史上初となる「投手によるプレーボール本塁打」を放ったのは、登板4試合ぶりの二刀流での出場となった試合だった。マウンドでも粘投を見せたが、その陰では、ドジャースが細心の注意を払いながら負荷管理を続け、大谷とともに最高の状態を模索した産物でもあったと言える。ドジャースのブランドン・ゴームズGMが語る「前例なき二刀流管理」の実態に迫る。

【大谷が成し遂げた史上初の本塁打】

 5月20日(日本時間21日)、サンディエゴ・パドレスのクレイグ・スタメン監督はドジャース戦を前に、こんな質問を受けた。

「かつてリリーフ投手として打率.237、6打点、二塁打3本を記録したあなたは、大谷翔平の二刀流を語る資格があるのでは?」。監督は笑いながら首を振った、「いや、ないです」。スタメン監督は現役時代、562試合に登板し、43試合で先発も経験した。

「先発投手の大変さを知っているからこそ、なおさらすごいと感じます。出塁したあと、次のイニングにマウンドへ戻る時、どれだけ疲れていたかを覚えています。彼はそれをシーズンを通してやっている。驚くべきことです」

 その数時間後、大谷翔平はスタメン監督をもっと驚かせた。「1番・投手兼DH」で先発すると、初回、メジャー史上初となる"投手プレーボール弾"を放った。午後5時41分、まだ明るさの残るペトコ・パーク、パドレス先発ランディ・バスケスの初球、高めのフォーシームを捉えた打球は、右中間席へ吸い込まれた。

「見送ろうかなと思ったんですけど、来た時に反応で打てた。今後につながる一本かなと思います」。さらに大谷は、投手としてこう続けた。「先制点を与えない気持ちで試合に入っていたので、その前に点が入った。"1番"がいい仕事をしてくれた感じかなと思います」。"リードオフマン・大谷"が、"投手・大谷"を助けた。

 負荷管理のため、過去3登板では大谷を打者として起用していなかったデーブ・ロバーツ監督も、この一発を絶賛した。

「相手はエース格を立ててきた。その相手に先頭打者本塁打を打った。すべては翔平から始まりました」

 バットでは完璧なスタートを切ったが、マウンドでは簡単ではなかった。最初の3回を無失点で終えたものの52球も投げなければならなかった。そして4回に1死一、二塁、5回には無死一、三塁のピンチを背負った。試合後、大谷は「この1週間、あまり投げ心地がよくなくて、不安がありました」と明かした。それでも、「シーズンを投げていれば、こういう試合は必ず来る。そういう試合をどう投げるかは、調子がいい時以上に大事」と振り返った。

 5回の無死一、三塁。大谷はギアを上げた。ラモン・ロレアノをシンカーで投ゴロに打ち取ると、三塁走者をけん制しながら二塁へ送球。さらに満塁となったが、最後はフェルナンド・タティスを外角スイーパーで遊ゴロ併殺に打ち取り、派手なガッツポーズに加え雄たけびを上げた。

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著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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