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大谷翔平とドジャースが挑む二刀流の「次なるステージ」 対話を重ねながら「休養」を組み込む思想とは (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Hideki Okuda

【ゴームズGMが語る負荷管理の考え方】

 5月に入り、ロバーツ監督の会見では毎日のように、大谷の負荷管理が話題になっていた。

 そして登板前日の19日には、ブランドン・ゴームズGMも、大谷の負荷管理について語っていた。フルシーズン二刀流で臨む今季、いつ休ませるか、投手としての起用計画にどう組み込むか、その判断はどれほど繊細なのか。ゴームズGMはこう答えた。

「決まったゲームプランはありません。振り返って参考にできる前例がないからです。今年、彼がやっていることは、前回(ロサンゼルス・エンゼルス時代)フルシーズンで投打をやった時とも違います。だからこそ、途中で対話を続けることが本当に重要です」

 ドジャースにとっても、毎週、状態を見ながら調整していく未知の作業なのだ。

「これは非常に負荷の大きいことです。誰もほかにやっていないのには理由があります。ロバーツ監督やスタッフが『今日は休ませたほうがいい』『リセットに役立つ』と感じる時には、翔平との会話を重ねることが大切。今後シーズンが深まっていくなかで、彼をフレッシュな状態に保つ必要が私たちにはあります」

 さらにゴームズGMは、大谷の性格にも触れた。

「彼は決して『今日は無理です』『休みが必要です』『今日は出られません』とは言いません。だからこそ、我々の側から話を持ちかける必要があります。『今日は休んだ方が賢明かもしれない。それが将来的にいい結果につながるかもしれない』と」

 大谷が毎日出たい選手であることを、球団は分かっている。だからこそ、休ませる判断は本人任せにはしない。

「一日休むことが、休まないことよりも有益になり得る。その点を、我々が意識しておく必要があります」。

 ゴームズGMの発言は、ドジャースの現在地をよく表している。大谷は自分から「出られない」とは言わない。だが、すべてを本人任せにすれば、負荷は積み重なっていく。ドジャースは大谷と10年契約を結び、ともに王朝を築こうとしている。だからこそ対話を重ね、休養を組み込みながら、二刀流を維持しようとしている。実際、5月には2試合連続を含め、4試合で打席に立たなかった。5月20日は、登板4試合ぶりの二刀流だった。

 試合後、大谷はこう語った。

「やってほしいと言われるのが、自分にとってベストなのかなと思う。今日みたいに投げてもよくて、打っても結果がよければ、今後も使ってもらえる機会が増えると思います。ただ長いシーズンですし、チームの状況もある。そこは臨機応変に、どちらでもいけますよというスタイルでいます。そこはもう完全にチームに任せています」

 結果は出している。投げては8試合に先発し、7試合でクオリティースタート(先発で6回以上を投げ、自責点3以内に抑えること)。防御率は驚異的な0.73だ。一番打者としても5月23日までの時点で9試合連続複数回出塁を記録し、この間は打率.457、35打席で25度出塁、7長打、12打点。4月下旬から5月上旬はスランプにあえいでいた打撃だが、今季成績も打率.276、OPS(出塁率+長打率).883まで上げてきた。二刀流が巨大な負荷を伴うことは、球団も本人も理解している。それでも大谷は、結果でその価値を示し続けている。

後編につづく

著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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