金子侑司は決死の覚悟で盗塁王のタイトルを獲得した プロ4年目、「やらんと終わる......」 (3ページ目)
── プロ4年目の2016年、53盗塁で初めてタイトルを獲得します。
金子 佐藤友亮(外野守備・走塁)コーチが就任した年で、「その足があって、3年間、何をしていたんだ!」と言われました。それで「やらんと終わる......」「盗塁王のタイトルを獲れば人生が変わる」という覚悟でした。盗塁は企図しなければ始まりません。とにかく出塁して、まず"スタートを切る"ということです。
── この年、糸井嘉男選手(当時・オリックス)と同じ盗塁数で、3位は西川遥輝選手(当時・日本ハム/現・ヤクルト)の41個でした。
金子 糸井さんに追いついたのですが、膝を痛めていてもう限界でした。糸井さんはまだ残り4試合残していたのですが、肉離れなどで限界だったようです。50個近く走ると、やはり下半身に負担がかかりますね。
【韋駄天が語る盗塁成功の秘訣】
── 盗塁はスタート、スピード、スライディングの「3S」と言われますが、なかでもスタートは大事だと思います。スタートの際、気をつけていたことはなんですか。
金子 力まないことです。いいスタートを切れた時は、スッと出られています。歯を食いしばって力んでいたら、絶対に足は動いていかないです。
── 投手のクセを盗むことはありましたか。
金子 投手のクセを見抜けたら、投げる前にスタートを切れるから一番いいのですが、なかなか簡単にはいきません。となれば、投球モーションに対して、いかに自分の反応でスタートを切れるかが大事になってきます。
── 盗塁は、投手がセットポジションから動いて、キャッチャーが二塁に送球するまで"3.3秒の攻防"と言われています。しかも、特にパ・リーグはストレート勝負が多くて、走りづらい部分があったのではないですか。
金子 僕は塁間を3.1秒から3.2秒で走っていました。最近の投手のクイックは、だいたい1.1秒くらいです。最初は投手のクセを盗めばいいという感覚でした。しかし、甲斐拓也捕手(当時、ソフトバンク/現・巨人)をはじめ、若月健矢捕手(オリックス)や太田光捕手(楽天)らの強肩捕手が出てきて、投手を含めたバッテリーとの勝負になっていきました。
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