金子侑司は決死の覚悟で盗塁王のタイトルを獲得した プロ4年目、「やらんと終わる......」 (2ページ目)
── 決断した理由は何だったのでしょうか。
金子 正直、立命館宇治高は知らなかったのですが、校舎の前を通りかかったときに「何この学校。きれいだし広いぞ。野球部あるの? えっ、2004年にセンバツ出てるじゃん」と。当初、スポーツ推薦枠は埋まっていると断られたのですが、辞退者がひとり出て、奇跡的に決まったのです。入ってみたら、甲子園出場経験がある野球部なのでそれなりに厳しかったですが、楽しかったですね。
── 高校3年の夏は府大会決勝で福知山成美高に2対8で敗れましたが、高校通算20本塁打で、プロ注目の選手でした。
金子 僕自身は甲子園出場よりも、将来プロ野球選手になるために野球をやっていたタイプでしたが、さすがに最後の夏は仲間たちと一緒に甲子園の土を踏みたかったですね。高校3年の時、プロ志望届を出せば指名されるかもしれないと言われて迷ったのですが、結局、大学進学を選びました。
【プロ1年目で開幕スタメン】
── 立命館大学では2年春のリーグ戦で、遊撃手としてベストナイン獲得。3年では日米野球、4年時には全日本選手権に出場するなど実績を積み、2012年のドラフトで西武から3位で指名されました。
金子 指名された時は、「これでプロ野球選手になれる」とうれしかったですね。僕が憧れていた松井稼頭央さんがメジャーから日本に戻り、楽天に入った時でした。
── プロ1年目の2013年、「7番・ライト」で開幕スタメン出場を果たしました。プロ初打席で日本ハムの武田勝投手からショートへ内野安打。この年、94試合に出場して、62安打、12盗塁の成績を残しました。プロでやっていける自信めいたものはありましたか。
金子 キャンプから無我夢中でやって、気づけば開幕スタメン、それから2カ月ぐらいはけっこういい成績でしたが、じつは心底疲れていました。毎日続く試合、どんどん落ちていく体重......。自信よりもしんどさを感じたのが、正直なところでした。
2 / 4