低迷するロッテの現状をOB清水直行が分析 改革が進まないのは、ここ数年で見せた「しぶとさゆえの弊害」も (3ページ目)
――先ほど「VISION 2025」が実現できないのであれば、何かしらのアクションがあっても不思議ではない、という話がありました。現在のチーム状態は、常勝軍団を目指すといったビジョンとの乖離を感じざるをえません。
清水 企業は想定していたよりも業績が悪ければ下方修正しますよね。それと同じように「VISION 2025」が難しくなったのであれば、誰かが責任をとりつつ、例えば「VISION 2030」といったようにビジョンを変えてもいいと思うんです。やっぱりフロントと現場の監督・コーチ、選手が一体となって、遮二無二やならなければチームを強くしていくことは難しい。
それと、ここ数年ロッテはシーズン終盤に粘りを見せて2位になったり、3位に滑り込んだりしぶとさを見せています。そのしぶとさゆえの弊害と言ったら変ですが、そのことがチームを改革しにくくしているのかもしれません。「Aクラスになれるかも」「優勝できるかも」というシーズンが続いていて、(54勝87敗2分けでリーグ最下位となった)2017年以来、ドカンとやられたシーズンがありません。そうなると、思いきったことがやりにくくなったりするんです。
――選手の世代交代なども、それに当たりますか?
清水 そうですね。例えばベテランや、経験値が高い選手を多く使えば、「3位にはなれる」「日本で実績のある外国人選手を獲れれば、優勝争いができるかも」となるかもしれませんが......それも、もちろん悪いことでないのですが、そうなると世代交代も遅れかねません。ベテランは起用を続ければ、それなりに結果を出します。でも、それを繰り返してしまったために、若手がなかなか育っていないんです。
それは"逃げ"の考えであって、どういう状況であろうと世代交代を図っていくこと、チームを強くしていくことが、フロントや監督・コーチの仕事なはずです。常に優勝争いできるチームを目指すということは、そういうことがありながらも、しっかりと"血"を入れ替えていかなければ実現できないと思うんです。
3 / 4