制球難、二軍落ち、そして復活...なぜヤクルト高梨裕稔は再びローテーション投手となれたのか (2ページ目)
小野寺コーチは「コントロールに課題があった」と、当時を振り返る。
「どうしても力任せに投げることが多かったので、体が前に突っ込んでしまっていました。大げさに言えば、踏み出す足が地面につく前にボールを投げてしまっているようなイメージです。そうなると下半身がうまく使えず、バッターとの間合いも取れません。相手にとってはタイミングを取りやすい投球になってしまっていたと思います。そこで、まずはフォームをゆったりとさせて、バランスよくしっかりと投げることから始めたんです」
高梨は、小野寺コーチからの言葉を「覚えています」と言った。
「何を変えたかについては、一番変わったのは投球フォームですね。周りから見れば気づかないかもしれませんが、自分のなかではかなり大きく変えました。ものすごく簡単に説明すると、投げる時に前に移動しなくなった、ということです。僕は前に突っ込むクセが強くあって、イメージとしては、あまり踏み出さずにその場で投げるくらいの感覚です。以前はそれをやろうとしてもできなかったので、そのためにウエイトトレーニングに力を入れるようにしました」
【ウエイトトレーニングの効果】
昨年のシーズン後半あたりから「体をある程度うまく扱えるようになった」と、ウエイトトレーニングの効果を感じ始めたという。
「それをもう一段階、二段階レベルアップさせようと、去年のオフもウエイトを続けて、下半身がより安定し、上半身の力もつきました。昔は力がなかったので、どうしても勢いや遠心力で投げていたんですけど、今はそういうのがなくなってきた感じです。そのことで球速も安定して出せるようになりましたし、制球もよくなりました」
宮沢直人ブルペン捕手は「オフの自主トレも手伝いました」と、高梨の努力と凄みを間近で見続けてきたひとりだ。
「高梨さんも年齢的な部分で、やっぱり体の状態って落ちてくると思うんですけど、そこを技術でカバーしようとせず、去年の12月もウエイトを高重量、高頻度でやっていました。それが今につながっていると思います。もともといいボールでしたけど、ウエイトでフィジカルの強度が上がったので、すごいボールですよ、ほんとに(笑)」
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