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西武・渡部聖弥は打てなかった打席に価値を見出す ルーキーとは思えない「バッティング哲学」 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

── 報道陣は「打率4割」「プロ入り初の2試合連続無安打」と注目しますが、全然違う世界観にいるんですね。

渡部 そうですね。率を追ってしまうと、数字が下がってきた時に調子まで落ちてしまうと思うので......。そういったものではなく、自分のなかで「これができた」「これができなかった」というものをしっかりやる。流されず、自分が追い求められるものをまっとうするという感じです。

【中学時代から配球は意識していた】

── 4月29日の楽天戦後、「すべての打席で収穫がないと成長できない。狙い球を決めていくことで次の打席にも生きる。1打席1打席、しっかり割り切ることはやっています」と話していました。そういう意識はいつからですか。

渡部 学生時代から心がけていました。高校時代も考えてやっていましたが、レベルアップするにつれ、考える内容やスキルも上がってきたかなと思います。

── 話を聞くたび、プロで長らくプレーしている選手に取材しているような感覚を覚えます。渡部選手が今の思考法に至るうえで、大きなきっかけとなったのは?

渡部 中学時代から配球は読んでいました。小さい町のチームでプレーしていて、4番を任されていたのですが、自分だけ配球が違うことがあって。そのようにマークされながらも結果を出すには、考えないといけないと思うようになりました。

── なかでも転機となったのは?

渡部 大学4年生の春、全然打てない時期があって。「こんなに打てないの?」と思うぐらい打てなくて......。それまではノーヒットの試合があっても、次の試合ではしっかり結果を出せていたんです。でもその時は、考えてやっても結果に結びつかず、ほんとに何カ月もの間ずっと不振が続いていました。

── 大学4年春のリーグ戦は打率.220でした。

渡部 リーグ戦だと、やっぱり打率を気にしてしまうんですよね。1試合にこれだけ打たないと周りに追いつけないとか考えてしまって。特に大学4年時は副キャプテンで4番も打っていたから、「自分が打たないとチームを引っ張っていけない」という外部要因もあって、単純にピッチャーと対決できていなかったんです。打席のなかで、自分が何をして、何を得たかというのが薄いから次の打席に生きないし、なかなか修正できない日が続きました。

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