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西武・渡部聖弥は打てなかった打席に価値を見出す ルーキーとは思えない「バッティング哲学」 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

── 大学4年秋は打率.438で首位打者&MVPを獲得。どんな取り組みで不振を抜け出したのですか。

渡部 大学の監督などからアドバイスをいただいて、自分を客観視できるようになっていきました。リーグ戦で低調な結果に終わって落ち込むところもあったけど、すぐに次が始まる。じゃあどうやったら打てるんだろうって考えた時に、一歩引いた目で自分を見て、「これができてないな」「これもできなかった」というのがありました。そうした課題と向き合い、少しずつクリアしていった感じです。

── 切り替えがうまくできたのですね。

渡部 春のリーグ戦のあと、大学ジャパン(日本代表)の試合がチェコとオランダであって、その時にけっこう打席に立たせてもらったんです。そのなかで、しっかりピッチャーに向き合うことができました。大学ジャパンは自チームではないし、副キャプテンでもないから、そこまで「自分がやらないと......」と思う必要がなかった。純粋に、打ってチームに貢献することだけを考えることができました。そのなかで「あっ、こんな感じだったな」と徐々に感覚をつかんでいって、秋はいい結果で終わることができました。

【ドラフト2位指名の悔しさ】

── プロになって環境は変わっても、自分のなかで同様のアプローチができているのですか。

渡部 そうですね。いい時には打率.450やマルチヒットが続くけど、悪い時は2試合ノーヒットもあります。でも大事なのはそこじゃなくて、たとえば5打数2安打だった時に、2本のヒットを喜ぶのではなく、打ち取られた3本は何がダメだったのかを求めていかないと、結果を出し続けることは難しいと思います。

 野球では「3割バッターはすごい」と言われるけど、10本のうち7本は凡退じゃないですか。その凡退をどう考えてやるかによって、打率3割が4割になるかもしれないし、その可能性はゼロではない。打率を残すためには、打てなかった打席をどう考えるかが大事だと思います。

── 西武は、不調だった大学4年春から秋に復調するプロセスを見て、渡部選手を高く評価したと聞きました。

渡部 それは知らなかったです。でも当時、秋に結果を残せたことで、ひと皮剥けたというか、レベルアップできたなという実感はありました。

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