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NPB未経験の二宮衣沙貴と根岸涼 27歳になる彼らはなぜ台湾プロ野球でプレーする道を選んだのか (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 二宮と根岸をアストロプラネッツ時代にGMとして担当した色川冬馬氏は、ふたりの実力に太鼓判を押す。

「球速や変化球の数値を見ればNPBで戦える能力を持っていますが、スカウトが視察に来た時に活躍できなかったなど、何らかの理由でドラフトにかからなかったと思います。でも、場所を変えたらもっと評価される選手はいる。実際、ふたりは中南米でも高く評価されています。育成という立ち位置であれ、アジアのトップリーグである台湾でプロ契約できる実力を持っています」

【中南米の舞台で評価された実力】

 二宮と根岸は今年2月、元DeNAのアレックス・ラミレスが監督を務めるジャパンブリーズの一員としてカリビアンシリーズに出場した。昨年12月には同チームの親善試合でベネズエラ・ウインターリーグのオールスターチームと対戦し、実力が評価されて同国球団との契約に至った。いずれも中南米ではトップレベルの舞台だ。

 まだまだ上のリーグを目指すふたりにとって、世界的権威のカリビアンシリーズは貴重な経験になったと振り返る。二宮は言う。

「MLBやNPBの経験者、さらに現役メジャーリーガーがいた舞台で自分の真っすぐは通用しました。2月頭に試合をすることは初めてでしたが、あれだけのパフォーマンスを出せて自信になりました」

 カリビアンシリーズではプエルトリコ戦に先発し、5回途中まで2失点と好投。対戦した元西武のデビッド・マキノンは「腕の振りが見えにくいので、球速より速く感じた」と称賛した。

 対して、根岸はチームメイトの川﨑宗則やコーチの藪恵壹、高橋尚成という元メジャーリーガーに背中を押された。

「ここまでやったからには、自分が納得するまでやったほうがいいよ」

 大舞台で結果を残してきた一流の言葉は、根岸の胸に響くものがあった。同大会後、富邦のトライアウトに合格して次の道が開けた。

 二宮は台鋼ホークスの入団テストにも参加したが、契約を勝ち取ったのはジャパンブリーズのチームメイトで、同じく同球団のトライアウトを受けた左腕の櫻井周斗(元DeNA)だった。それでも二宮は、昨年のウエスタンリーグでの成績やカリビアンシリーズでの投球内容が評価され、根岸と同じ富邦でプレーすることになった。

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