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阪神・森下翔太、巨人・秋広優人、広島・内田湘大を名コーチがリアル解説 若手スラッガー候補の現在地 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

── 藤川監督は森下選手の何に期待して、4番を任せるのでしょうか。

伊勢 たいした意図もなく4番に据えるはずはない。考えられるのは、去年までのような"感覚でやる野球"から"考えてやる野球"にアップグレードしてほしい......そんな思いがあるんじゃないか。あえて口で言うのではなく、責任を持たせることで変わってほしいと。いずれにしても近い将来、チームを背負っていく選手になるのは間違いない。藤川監督としては先を見据え、早いうちに経験を積ませたかったのかもしれんね。

2023年には121試合に出場した巨人・秋広優人 photo by Koike Yoshihiro2023年には121試合に出場した巨人・秋広優人 photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る

【阿部監督の言葉から感じる歯痒さ】

── つづいて巨人の秋広選手ですが、ご覧になられた印象は?

伊勢 キャンプで秋広について、阿部慎之助監督と話をする機会があったが、「期待はしているけど、期待どおりに成長していない」という感じだった。阿部監督は秋広のスイングについて「腹切りスイング」と表現していたが、簡単に言えば構えたバットのグリップが、左脇から右の骨盤あたりに下りてくる。昔でいう"大根切り"のようなスイングで、これがずっと続いているらしい。

── そういうスイングをしているのは、何か意図があるのでしょうか。

伊勢 考え方としてはアッパーにならず、ボールを上から叩きたいということなんだろうけど、ちょっと極端すぎる。だから、インサイドのボールを打つ際、窮屈になってしまう。もう少しラクに構えて、レベルスイングでいいと思うが、彼なりのこだわりがあるのかもしれない......。ただ、その形で昨シーズンまで結果が出なかったのだから、意識の転換というか、今までとは違うスタイルを取り入れることも考えていかなきゃいかん。

── そういう場合、コーチたちはどのような対応をするのですか。

伊勢 当然、指摘はしていると思う。ただ今回のキャンプを見る限り、フォームを変えようという感じではなかった。去年までの延長というか......。こればかりは選手自身が納得して、考え方を変えない限りコーチは何も言えんよ。

 一般的にコーチが手取り足取り指導するイメージがあるかもしれんが、プロの世界はあくまで選手ファースト。それがたとえ遠回りだと思っても、本人がその気になるまで余程のことがない限り強制しない。逆に結果を出せば、どんな形だっていいよ。イチローがそうだったでしょ。

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