ベイスターズ小園健太が振り返る市立和歌山高時代 コロナ禍、甲子園のマウンド、智辯和歌山との激闘... (3ページ目)
2回戦は明豊と対戦した。小園は5回からマウンドに上がったが、松川のタイムリーで同点に追いついた直後の7回に、小園は決勝タイムリーを打たれてしまう。
「自分の弱さが出た試合だったと思います。相手バッターは、タイムリーを打たれる1球前にインハイのボールを空振りしていたので、外が遠くに見えるだろうとスライダーを投げたら、食らいついてきました。執念の差、というのを感じた敗戦でした......」
市立和歌山の甲子園は終了した。敗北を喫したが、小園は14イニングを投げ1失点。時に見せる圧巻のピッチングは大きな話題となり、ドラフトの目玉候補になった。
「甲子園は本当にすばらしい場所だと思ったし、夏は絶対にここでリベンジするんだと、チームメイトとともに誓いました」
【宿敵・智辯和歌山との決勝戦】
夏の甲子園の切符をかけた和歌山大会で、市立和歌山は準々決勝と準決勝を5回コールド勝ちという爆発力で決勝へと駒を進めた。リベンジを誓った甲子園まであと1勝。相手は因縁の智辯和歌山だった。春季の和歌山大会で市立和歌山は智辯和歌山に敗れており、小園は「その悔しさを晴らしたい」と決戦へと向かっていった。
一方で、一抹の不安があったという。それは、圧勝で終えたはずの準々決勝と準決勝が頭の片隅で引っ掛かっていたからだ。
「コールド勝ちということは、9回を戦っていないということでしたから」
スタミナも含めた実戦への不安。案の定、それは的中し、小園は5回まで無失点だったが6回に智辯和歌山打線に捕まってしまう。
「あとから思えば完全に狙い球を絞ってきていましたし、それに気づけず変化球で攻めてしまい、後手後手に回ってしまったんです。もっと真っすぐで攻められたのではないかって......」
小園は4失点し、最後の夏が終わった。当時、小園の目には光るものがあったが、あの時のことを振り返り語った。
「後悔はないです。自分たちとしてはやりきったなという思いが大きかったので」
余談になるが、甲子園へ出場した智辯和歌山は、順調に勝ち上がり全国制覇を遂げた。その光景を小園はどんな気持ちで見つめていたのだろうか。
3 / 4