元DeNA・乙坂智が語るメキシコ生活のリアル「家のアパートでお湯が出るだけで、マジで幸せ」 (5ページ目)
今年1月、30歳になった乙坂智 photo by Ryu Voelkel この記事に関連する写真を見る── メキシカンリーグの年俸は安全上の理由で非公開とされていますが、ある程度出ていますか。
乙坂 (給料が発生するのは)試合がある時期だけなんで。年間で言ったら、「そこまで」です。でも、カネじゃないんですよ。そんなことでは「甘い」と言われるかもしれないけど、僕にとってここにいられる価値はものすごくデカいわけで。
── そもそも選手をできる年齢もある程度決まっていますしね。
乙坂 決まっているし、貴重だと思います。好奇心の赴くままに、目標に向かって突き進めるのはロマンですよね(笑)。
── 将来的にはいつまで野球をやろうと?
乙坂 別にいま(野球が)終わってもいいし、明日終わってもいい。そういう覚悟ですね。だから、悔いとかはまったくないです。だけど、好奇心がまだあるからやっている感じですね。
── 筒香嘉智選手が今年途中、ベイスターズに復帰しました。どう感じましたか。
乙坂 横浜の街は盛り上がるだろうなって。横浜のファンはすごいだろうなって思った記憶があります。
── 乙坂選手が日本の球団からオファーがあったら、行く可能性はありますか。
乙坂 好奇心が赴けば(笑)。すべてのコンパスの中心がここ(心の中)なので。こっち(頭)じゃないんで。
── 最後に、日本のファンにメッセージをください。
乙坂 メッセージ......。
── メキシコに見に来てよと、思いますか。
乙坂 それは思わないですね。その人が来たければ、来ればいいという感じです。
── みんな、自分の好奇心に任せて生きればいいと?
乙坂 そうです。人生、けっこう面白いことがたくさんあるよって思います。メッセージ......僕はめちゃ元気です。おかげさまで、めちゃめちゃ幸せです。
乙坂智(おとさか・とも)/1994年1月6日、神奈川県出身。横浜高から2011年のドラフトでDeNAから5位指名を受け入団。プロ3年目の14年、プロ初打席初本塁打を記録した。19年には97試合に出場するも、レギュラーの座はつかめず、21年オフに戦力外通告を受け退団。その後、メキシカンリーグ、昨年はアメリカの独立リーグでプレーし、今年はメキシカンリーグの名門レオネス・デ・ユカタンで現役を続けている
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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