ベイスターズ退団から3年、乙坂智の今 「仲間と最高の瞬間のために、自分のできることを一生懸命やる。今年が野球人生のベストシーズン」 (5ページ目)
── 外国に行き、うまく溶け込んでいくために重要なことは何ですか。
乙坂 飛び込むことじゃないですか。こういう言い方はあまりよくないですけど、日本人の国民性としてあまり主張しないじゃないですか。でも、こっちでは主張すると受け入れられる。「それ何? 見せて、見せて」とか言うと、意外とやさしく教えてくれる。とにかく輪に飛び込むことが一番馴染むし、そこから得られるものって無限大にあるので。
── 初めからそうできていましたか。
乙坂 僕ね、できていたんですよ。ひとりでメキシコにウインターリーグに行っていたので、自分から行かざるを得ないっていうか。「やべぇ、行かねぇと」みたいな(笑)。
── 2017年に初めてメキシコのウインターリーグに行った時、「ブレークスルーしたい」というのは必死だったということですか。そうしないと、野球人生の先がないと?
乙坂 人間的に小さいなって、ずっと思っていたんです。考え方や、相手に対しての接し方とか。何か自分を変えたいな、見える景色を自分から変えたいなって思ったから、メキシコ行きをお願いしました。
乙坂智(おとさか・とも)/1994年1月6日、神奈川県出身。横浜高から2011年のドラフトでDeNAから5位指名を受け入団。プロ3年目の14年、プロ初打席初本塁打を記録した。19年には97試合に出場するも、レギュラーの座はつかめず、21年オフに戦力外通告を受け退団。その後、メキシカンリーグ、昨年はアメリカの独立リーグでプレーし、今年はメキシカンリーグの名門レオネス・デ・ユカタンで現役を続けている
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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