ベイスターズ退団から3年、乙坂智の今 「仲間と最高の瞬間のために、自分のできることを一生懸命やる。今年が野球人生のベストシーズン」 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

── たとえば、どんなことですか。

乙坂 こっちに来た当初は、外国の選手は個人主義なのかなと思っていたんです。でもレオネスに来たら、チームを大事にするというか。みんな、家族のように仲がいい。一致団結してやるチームです。メキシコで僕が経験したなかでも、また新しい形というか。

── ベイスターズとレオネスではどんな違いがありますか。

乙坂 プロはチームが勝っても、自分の成績がよくなければ次の年にプレーできるかわからないじゃないですか。そのなかでも最大限、「チームがまとまっていこう」と一人ひとりがリーダーシップをとっている。ベイスターズでは筒香(嘉智)さんや(ホセ)ロペス、ピッチャーなら石田(健大)さんなど先頭を切ってやっている人もいましたけど、レオネスはその数が多い。

【野球人生のベストシーズン】

── 今季開幕前、アトランティックリーグからもオファーがあったなか、「一人ひとりが役割をまっとうして勝利を目指す野球をしたい」と、レオネスに来た理由を答えていました。まさに今、それをやっていると?

乙坂 そうですね。だから、今年が野球人生のベストシーズンです。そういう環境にいることがめちゃくちゃ幸せだなと思って。

── レオネスではおもに1番打者として、打率.300と打線を牽引しています(今季の成績は現地時間7月24日時点)。

乙坂 その感覚も変わってきているんですけど、自分の成績は関係なくて......変な話、打率4割打ったとしても、今後の人生でそんなに意味を持たないと思っています。それより、そこで何を経験したか、誰と出会ったか。そういうことのほうが、すごく価値があると思っているんです。

── レオネスからオファーが来た時、そういうチームだとわかっていたのですか。

乙坂 いや、知らなかったです。そもそも、オファーは来てないんですよ。それも面白くて。何か、「このチームに行きたい」と思ったんです。外国人選手を担当する人の連絡先を聞いて、「オレどう? いらない?」って連絡しました。そうしたら「来る?」みたいな感じで言われて、ありがたいことに話がまとまりました。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る