ベイスターズ退団から3年、乙坂智の今 「仲間と最高の瞬間のために、自分のできることを一生懸命やる。今年が野球人生のベストシーズン」 (4ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

これまで多くの日本人がプレーしてきたメキシカンリーグ photo by Ryu Voelkel これまで多くの日本人がプレーしてきたメキシカンリーグ photo by Ryu Voelkel この記事に関連する写真を見る── 入団テストもなしですか?

乙坂 はい。じつは最初にディアブロスに行った2022年、レオネスからも声をかけていただいて2番目だったんですよ。で、行けなかったのもあるんで、今度は行きたいと。

── メキシコで野球は楽しんでいますか。

乙坂 ウインターリーグに行った日本人選手が、よく「野球が楽しいと気づいた」と言っているじゃないですか。その感覚はあまりわからないです。自分を高めることに対しての楽しみはすごくありますよ。楽しむというより、学ぶ気持ちのほうが多いですね。

── 野球を続ける最大のモチベーションは、メジャーリーガーになることですか。

乙坂 以前から「メジャーに行きたい」と言っていましたけど、ちょっと資本主義に毒されているなって、最近思うんですよ(笑)。いろいろ学んで、そのなかで自分を高めようとしているわけじゃないですか。メジャーは後々ついてくるものなので。そこを目指していたら、違う方向に行っちゃうんじゃないかと思うんですよ。

── まずはチームが勝つために何をするか?

乙坂 そうです。仲間と最高の瞬間のために、自分のできることを一生懸命やる。その連続が、そこにつながると思うんですよ。でも今までの僕は、違うほうに行っていました。自分さえよければ、と。

【最近のテーマはみんなの応援団長】

── 年齢も経験も重ね、今は野球という競技で一番求めるべきものを純粋にやれているからベストシーズンなのですか。

乙坂 (小声で)そうなんですよ。今は自分の好奇心が赴くままに行動しているので、ベストシーズンなんです。

── 最近の好奇心は?

乙坂 今の幸せは、試合終了後にみんなとハイタッチしている時です。だから、その瞬間のためにどうしたらいいかと逆算して動きます。最近のテーマは、みんなの応援団長。目の前の人の心にどう着火させられるか。その問いのなかで生きています。全員は不可能に近いけど、接した人を少しでも元気づけるとか、挨拶して笑顔にするとか。

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