ベイスターズ退団から3年、乙坂智の今 「仲間と最高の瞬間のために、自分のできることを一生懸命やる。今年が野球人生のベストシーズン」 (2ページ目)
メキシコリーグ移籍1年目には開幕前にリリースされるという憂き目にあった乙坂智 photo by Ryu Voelkel この記事に関連する写真を見る
【開幕直前にリリース】
── その後、2021年限りでベイスターズとの契約が終わり、海外にプレー機会を求めます。海外一択だったのですか。
乙坂 最初に声をかけてくれた球団に行きたいと思っていて。それがメキシコだった、ということです。
── それでディアブロス・ロホス・デル・メヒコ(英語名はメキシコシティ・レッドデビルズ)に入団したら、開幕直前にリリース。
乙坂 「シーズン中でもリリースや移籍は多い」と聞いていたけど、いざ自分の身に起こるとけっこうきついなって。チームメイトとすごく仲良くなって、もうすぐで開幕というところだったので......寂しかったですね。
── 突然のリリースはメキシコでは日常茶飯事ですが、どう切り替えたのですか。
乙坂 意識しているのは、「日本だったら」とか「日本だとこうだよね」と考えないようにすることですね。
── メキシコに来て1年目からそう思えたのですか。
乙坂 いや、当初は激動の毎日っていうか、こんなことが起きるのかって......。正直ストレスしかなかったです。
── シーズン中にブラボス・デ・レオンに入団し、さらにサラペロス・デ・サルティージョにトレード。翌年にはアメリカの独立リーグ、アトランティックリーグのヨーク・レボリューションに入団します。
乙坂 行く前は、僕のなかでアメリカをけっこう美化していて、そのギャップがすごくて。その頃から「日本だったら」と考えないようになってきました。この違和感と戦っていたら、いつになっても勝てないなって。
── 具体的には?
乙坂 日本だったら時間どおりにバスが来るとか、誰も寝坊しないとか、食事が当たり前に出るとか。小さいことですけど、そういうのと戦わないようになりました。アトランティックリーグはけっこう過酷なので。金銭面もそうですし、移動も含めて。
── バスで10時間以上移動して到着後、すぐに試合というのも普通にあるとか。
乙坂 はい。なので、流れに身を任すしかない。そことぶつかると、あまりいいことないって感じましたね。日々、その勉強っていうか。今年は今年で、学んだことがたくさんあります。
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