「西川龍馬の4番起用は中嶋聡監督からのメッセージ」星野伸之が上昇ムードのオリックス打線を分析 (3ページ目)
――打線につながりが出てきた上、オリックスらしい駆け引きが見られるようにもなれば、相手チームは嫌でしょうね。
星野 宗佑磨の犠牲フライでサヨナラ勝ちをした(5月31日の)中日戦で、9回裏に先頭の宜保翔がヒットで出塁。「次は確実にバントをさせるだろう」というケースでしたが、バッターは西川だったんです。「西川にバントさせるのか?」という場面でしたが、西川はバントの構えからバットを引いた。結局、バントはさせなかったんです(結果はファーストゴロ)。見ているほうは「そこから引くんだ?」みたいな感じですよね。
その揺さぶりが影響したかはわかりませんが、一塁ランナーの宜保が盗塁した時に、中日のキャッチャー・木下拓哉が二塁へ悪送球。宜保は三塁まで行き、宗の犠牲フライのお膳立てになったわけですが、そういった"ナカジマジック"がもっと見たいです。
――本来オリックスが得意とする、僅差の試合をモノにしていくために必要なことのひとつでしょうね。
星野 あとは福田や、(マーウィン・)ゴンザレスら今は一軍にいないメンバーがいつ戻ってくるのか。長いシーズンを考えれば絶対に必要な戦力ですし、本来であれば野手の層は厚いんです。成長中の太田や状態が上がってきた西川らも含め、中嶋監督が長いシーズンを通じてどう戦っていくのかに注目したいです。
【プロフィール】
星野伸之(ほしの・のぶゆき)
1983年、旭川工業高校からドラフト5位で阪急ブレーブスに入団。1987年にリーグ1位の6完封を記録して11勝を挙げる活躍。以降1997年まで11年連続で2桁勝利を挙げ、1995年、96年のリーグ制覇にエースとして大きく貢献。2000年にFA権を行使して阪神タイガースに移籍。通算勝利数は176勝、2000三振を奪っている。2002年に現役を引退し、2006年から09年まで阪神の二軍投手コーチを務め、2010年から17年までオリックスで投手コーチを務めた。2018年からは野球解説者などで活躍している。
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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