「西川龍馬の4番起用は中嶋聡監督からのメッセージ」星野伸之が上昇ムードのオリックス打線を分析 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――西川選手は巨人との3連戦で、3試合連続で初回に先制のタイムリーを放ちました。

星野 当たり始めるとこれだけ嫌なバッターもいませんよね。ヒットゾーンが広い分、手を出して打てなかった時は「そんなコースのボールまで振らなくても......」という印象もありましたが、逆に打ち出すようになると相手ピッチャーは嫌ですよ。ピッチャー目線からすると、ある程度計算して投げているだろうコースをヒットにされるのは、かなりショックが大きいはずです。

 西川が好調で、打線もつながり始めたので投手陣も心強いと思いますし、やはり3連覇しているチームで"勝ち方"は知っているので、他チームにとって怖い存在になるんじゃないですか。交流戦では楽天が走っていますが、それに迫るくらいの勢いも感じられるようになってきたと思います。

――今の打順を維持するのもアリでしょうか。

星野 ある程度のつながりを維持できるのであれば、しばらくは太田・西川・紅林のクリーンナップは固定するのもアリですよね。個々が役割を明確に意識できるようになりますし、打席に入るリズムも打順で違うでしょうから。たとえば、左ピッチャー用の固定オーダーなどを試してもいいかもしれませんしね。

【今後の采配についての期待】

――頓宮裕真選手、杉本裕太郎選手の状態はどう見ていますか?

星野 頓宮はしっかりと逆方向にも打てるようになっていますし、一時期よりはよくなっているかなと。杉本は、バットを折りながらセンター前にヒットを打ったりしていたのですが、それでいいんですよ。それを続けていればいいのですが、調子が悪くなればなるほど完璧を求めたくなるものなんです。僕が現役時代にピッチャーとして感じていたことなのですが、バッターはそういうところがありますから。

「ちょっと芯から外れているな......どうにかしないと」とかね。調子がいい時は、そんなことは全然気にならないのですが、頓宮も杉本も変な当たりを気にしてしまうんじゃないですかね。ふたりとも打撃タイトルを獲るだけの力がある選手なので「こうやったら打てる」というものをもう一度思い出してやってもらいたい。本来であれば7番や8番を打たせるバッターではないですからね。

 それと、オリックスは盗塁が少ない。相手にも「そんなに動いてこない」という認識があると思いますが、それを逆手にとっていくのもいいかと。中嶋監督のタイミングもあると思うので何とも言えませんが、大まかに言うと"動く野球"にシフトする。1度動いておいて、「ついに動いてきたか」と意識づけさせておいてその後は動かない、といったやり方も相手は嫌だと思います。ここまではあまり動かず、フルカウントまで粘って自動的に走る、という感じだったので、あえて若いカウントで動かしてくのも効果的だと思います。

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