阪急・オリックス一筋46年 松本正志が選出した「投手ベスト5」「打者ベスト5」
阪急黄金時代の78年に入団し、以来、選手、裏方としてチームを支えてきた松本正志氏。その間、チームは多くの名プレーヤーを輩出してきたが、松本氏に投打それぞれの「ベスト5」を選出してもらった。また、阪急黄金時代と昨年までリーグ3連覇を達成した令和のオリックスの違いについても語ってもらった。
通算284勝をマークした山田久志 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る
【異次元だった山田久志】
── 松本さんが見てきた、阪急、オリックスの投手ベスト5を挙げてください。
松本 まず通算284勝の山田久志さんです。私がプロ入りした前年まで3年連続MVPを獲得するなど、球史に残る大エースでした。ランニングひとつとっても、飛び跳ねるようなカッコいい走り方でした。瞬発力に秀でていたのでしょうね。アンダースローからの投球は、ピンポン球のようにフワッと浮き上がる。それでいてスピード、球威、コントロールを兼ね備えていて、またストンと落ちるシンカーは"伝家の宝刀"でした。
── 山田さんとの思い出に残る出来事は何ですか。
松本 1978年のヤクルトとの日本シリーズ第1戦は、6対5で山田さんの完投勝ちでした。9回裏二死満塁のフルカウントからファウルで5、6球粘られながら打ち取りました。あとで「山田さん、よくストライクが続くものですね」と言うと、「マツ、何言っているんだ。オレは目をつぶって投げてもストライクを取れるぞ」と。次元が違いますよね。山田さんが先発の試合は、ブルペンで控えるリリーフ陣はお休みでした。
── 2番目は誰でしょうか。
松本 やはり山本由伸(現・ドジャース)ですね。山田さん以降、「今日のブルペンは開店休業だな」と思わせる投手はなかなか存在しませんでした。そういう意味で、ふたりは別格です。由伸のストレートは最速159キロですが、捕手のうしろから見ると、スピード以上に重たそうな球質です。それにカーブは、打者の手前でグッと急に曲がる。ストレートの軌道が長いというか、打者にとってはボールの見分けがつきにくい。えげつない球でした。今季からメジャーに移籍し、すでに頑張っていますが、15勝ぐらいは勝つと思います。
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