阪急・オリックス一筋46年 松本正志が選出した「投手ベスト5」「打者ベスト5」 (3ページ目)
── イチローに次ぐ2番目は誰でしょうか?
松本 福本豊さんです。シーズン106盗塁(1972年)、13年連続盗塁王。足はもちろん速かったですが、盗塁は、ふつうの選手よりかなり手前でスライディングしていましたね。福本さんが四球で出塁して二盗、バントで三塁に送って、犠牲フライ。ノーヒットで先制点を挙げるのが、阪急黄金時代の得点パターンでした。また、最近では珍しい「スリコギ型バット」でボールにぶつけるように打って、通算208本塁打とパンチ力もありました。
── 次は誰でしょうか。
松本 吉田正尚(現・レッドソックス)です。正尚は四球が多くて三振が少なく、チャンスに強い。イチローや福本さんにも共通したのですが、チャンスに打てなくても「あいつが打てないのなら仕方ない」と思わせる打者でした。そのような雰囲気を醸し出しているのが、今なら森友哉です。昨年の西武との開幕戦で9回に同点本塁打。頼りになるところを見せてくれています。西武在籍時からいい場面で打つイメージがありましたが、オリックスに移籍してもそこは変わりません。
── 4人目をお願いします。
松本 加藤英司さんです。阪急黄金時代の不動の3番打者で、通算2055安打を放ち、首位打者2回、打点王3回。左打席から、内角低めの球をレフト前に持っていく技術の高い打撃が印象的でした。
── 最後の5人目はどなたになりますか。
松本 石嶺和彦です。彼は捕手で入団したのですが、左膝半月板を痛めてDHでの出場がほとんどでした。右手でリンゴを握りつぶしてしまうほどの握力、強いリストの持ち主で、パンチ力がすごかった。三振の少ない打者で、当時の日本記録である「56試合連続出塁」をつくったのも納得です。
今年3月末にオリックスを定年退職した松本正志氏(写真中央) photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る
【阪急4連覇とオリックス3連覇を比較】
── 阪急4連覇の時代と、昨年まで3連覇のオリックスとの相違点は?
松本 阪急時代は福本豊さんや簑田浩二さんら1、2番に足があって、下位の打者もパンチ力があって、一発長打を秘めていました。大熊忠義さん、大橋穣さん、中沢伸二さんたちがそうです。現在のオリックスはデータを重視し、相手チームが嫌がる打順を何通りも考えている気がします。
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