阪急・オリックス一筋46年 松本正志が選出した「投手ベスト5」「打者ベスト5」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 次はどの投手でしょうか。

松本 山口高志さんです。私は「ストレートは誰にも負けない」と、自信を持ってプロ入りしたのですが、山口さんだけは別格でした。75年から4年連続2ケタ勝利の実績があって、身長は170センチにも満たないのですが、150キロを超えるスピードを出していました。当時、近鉄の監督だった西本幸雄さんの「高めのボール球に手を出すな」というアドバイスを聞かず、高めの球を空振りしてしまった羽田耕一さんがゲンコツを食うという逸話が残っているほど速い球でした。私が見てきたなかで、一番速いと思います。

── 山口さんに続く投手は?

松本 変化球で言えば、野田浩司のフォークもすばらしかったです。2022年に佐々木朗希くん(ロッテ)が1試合19奪三振をマークしましたが、それに並ぶ日本記録保持者が野田です。野田は優勝した95年、96年にも活躍して美酒を味わわせてくれました。

── 最後、5人目はどの投手でしょうか。

松本 星野伸之です。テイクバックが小さく、左腕が体に隠れて、球の出どころが見えませんでした。90キロ台の大きなカーブに、120キロ前後のフォークを織り交ぜ、130キロほどのストレートがとても速く感じました。いつも「なぜ打てないのだろう」と思っていました。

【球史に名を刻んだ5人の好打者】

── 次に阪急、オリックスの打者ベスト5をお願いしたいと思います。一番はどの選手ですか。

松本 イチローが断トツですね。彼が入団してきた時、私はすでに打撃投手を退いていましたが、練習を見ていると、フルスイングでもほとんどミスなくボールをとらえ、ほとんどがフェンス越えです。当時の打撃練習は5本打ったら交代でしたが、5球全部ホームランを繰り返すのです。メジャーのオールスターのホームラン競争に出たら、並み居るスラッガーたちと好勝負を演じていたと思います。オリックス在籍当初は「振り子打法」でしたが、試合ではタイミングを外されても泳がされることなく、バットがうしろに残ってヒットにしていました。

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