セ・リーグのキャッチャーが打撃不振の理由を高木豊が解説 小林誠と大城卓三の違いとは (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――さらに、ヤクルトの中村悠平選手(打率.188、出塁率.300)、阪神の梅野隆太郎選手(打率.147、出塁率.244)などもバッティングで苦労していますね。

高木 中村に関しては、あれだけピッチャーが打たれるとリードのことで頭がいっぱいになりますよ。バッティングのことを考えられないくらいの状態になっているんじゃないですかね。

 梅野は坂本誠志郎に対してのライバル心というか、焦りもあるような気がします。昨季にケガをして離脱して以降、坂本がグッと評価を上げた。梅野としては「打たなきゃいけない」「守るだけじゃダメだ」と焦りが出てくるわけです。もともとはもう少し打率を残せる選手なのですが、どこかに力みがあるんでしょう。

――もともとバッティングがいい印象があった中日の木下拓哉選手も苦しんでいる印象です(打率.205、出塁率.233)。

高木 木下は、使われ方からして「あまり評価されていない」と感じているんじゃないでしょうか。立浪和義監督になって3年目ですし、相手にどう思われているかもだいたいわかります。それでも頑張って結果を出して、信頼を勝ち取らなければいけないのですが、なかなか頑張り切れないんでしょうね。

 自身は打てず、チームの負けが込み......結局は自分自身で招いてしまったことだと思うんです。もう少し木下が打ってくれれば打線の厚みが増すと思うので、復調してもらいたいですね。

―― 一方で、DeNAの山本祐大選手はバッティングが好調ですね(打率.299、出塁率.364)。

高木 彼はレギュラーを獲ることに意欲的ですから。伊藤光との正捕手争いもそうですし、松尾汐恩の存在にも戦々恐々としているはずです。なので、ここで引き離して自分がレギュラーを獲るんだというモチベーションが、バッティングにもいい影響を与えていると思います。もともとバッティングに対してはすごく自信を持っている選手ですし 。

――バッティングのどんな部分がいいですか?

高木 思い切りのよさ。それと、インサイドのさばきがいいです。色気を出して長打を狙いたくなるような場面でも、基本的にセンターに打ち返そうと意識しているのがいいですし、広角に打てる技術があります。ピッチャー陣があまりよくないので守りの面で大変だと思いますが、攻守両面でチームを引っ張っていける選手になっていってほしいですね。

(パ・リーグ編:「打てるキャッチャー」が急増中 高木豊から見た好調の要因は?>>)

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

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プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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