セ・リーグのキャッチャーが打撃不振の理由を高木豊が解説 小林誠と大城卓三の違いとは (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――大城選手は、今後どのような点を改善していけばいいのでしょうか。

高木 リードとか、キャッチャーとしての所作に対してはレッテルを貼られてしまっていると思いますし、それを覆すのは難しいです。なので打つしかないんですが、一軍に上がったところでマスクを被れないとすれば、つらいですよね。試合に出る時は4打席に立って育ってきている選手なので、代打はなかなか難しいでしょう。

 ただ、今の巨人は得点力不足です。夏場に向かっていくにつれてピッチャーが疲れ、打ってカバーしなければいけない状況になった時、今の巨人の戦い方では苦しい。小技を使うのは悪くないですが、怖さがないんです。大城が本来のバッティングを取り戻してくれれば、得点力を高めるためにも一軍に居てほしい存在です。

――岸田選手はどう見ていますか?

高木 岸田は非常に伸びてきています。バッティングも打席を重ねることによって、思い切りのよさなど彼の長所が出てきていますね。かつては高校日本代表でクリーンナップを打っていたキャッチャーですし(2014年のBFA U18アジア選手権に出場し、日本代表の3番打者として準優勝に貢献)、ポテンシャルを発揮し始めた感じがします。守りの面では、ピッチャーの持ち味を引き出すいいリードをしていると思います。

【他球団のキャッチャーもバッティングに苦労】

――広島の坂倉将吾選手はどう見ていますか?

高木 坂倉は「キャッチャーをやりながら、打たなきゃいけない」というプレッシャーに負けている感じがします。だから昨季もあまりよくなかった。もともと12球団のキャッチャーのなかでバッティングは抜きん出ているんですが、キャッチャーをやらせたことによって、バッティングが鳴りを潜めてしまったような気がします。

 技術的な部分が変わったとは思いませんが、やっぱり精神的な部分じゃないでしょうか。打たれたり、勝てなかったり......その象徴的な例が九里亜蓮です。先日(5月18日)の巨人戦でやっと1勝目(1勝4敗)を挙げましたが、それまではバッテリーを組みながら、開幕投手を務めた九里になかなか勝ちをつけてあげられませんでした。

――メンタルの状態がそこまでプレーに影響を与えているんですね。

高木 性格もあると思います。オリックスの森友哉なんかは「打たれたら、打ち返してやる」という感じじゃないですか。そのぐらい図々しくないと。だけど坂倉の場合は、打たれたら「あの時の配球は間違いだったかな」とか、いろいろなこと考えているんだと思うんです。尾を引いてしまうことでバッティングにも悪影響が出る。キャッチャーをやりながら打つことは大変だと思いますが、坂倉はそこの壁を今はまだ越えられないんでしょう。

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