ヤクルト丸山和郁がプロ3年目のレギュラー奪取 「どうすれば打てるのか...」を追い求めた試行錯誤の日々 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

「ロングティーをしているときに、力まないでボールをつかまえようと思ったら、ああいうスイングになっていったんです。ただ、自分の理想と現実とのギャップがありすぎて......。半信半疑だったのですが、大松コーチが『そこから何かが見つかるかもしれないからやってみなさい』と。実際に飛距離も出ていたので続けてみようと」

 バットを肩に担ぎはじめてから数日後、丸山は「あれはやめました」と言った。

「やっぱりプロでバットを肩に担いでいる選手はあまりいないじゃないですか。ということは、何かデメリットがある。大松コーチともそういう話になって、じゃあバットを少しずつ立てていって、担いだときと同じ感覚でやってみようと。でも、いま考えれば、手を使わないで打っていたので、あの練習も必要なことだったんだと思っています」

 松山では、自身のバッティング動画を見ながら「ようやくプロのバッターらしくなってきた」と頷いた日があった。

「キャンプの打ち上げ前日の練習だったですかね。上半身と下半身の連動がつかめた感じのスイングがあって、『これなのかな』と。ただ、その感覚は練習のときでしかなかったので、試合でそれを体現できるのかどうか。そんなことを考えてキャンプは終わったんです」

【転機となった一軍離脱】

 12月は母校の明治大で、1月は青木宣親、村上宗隆らと自主トレを行なった。2月の沖縄・浦添キャンプでは、体が沈み込むフォームにモデルチェンジしていた。自主トレでは、腕が伸びない、タイミングをしっかりとること、体が伸びきらないことを課題に練習に取り組んだ。

「青木さんやムネ(村上)に教わったことをミックスして、『これやればいいのかな』と。実際、キャンプでも飛距離は出るし、強いスイングもできていい感じでした。当時は手を胸元あたりに置いてタイミングを取っていたのですが、どうしても手に意識がいって力が入ってしまう。実際、オープン戦で結果は出なかったですし、去年とまったく同じような打ち取られ方だったので、『これも違うな』と。今は下半身でタイミングを取るようにして、上は動かさない意識でやっています」

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