山口俊がコロナ禍のMLB挑戦で残した未練 セカンドキャリアで「アメリカに借りを返したい」 (5ページ目)

  • 石塚隆●取材・文 text by Ishizuka Takashi
  • 長谷部英明●撮影 photo by Hasebe Hideaki

【『TANIARASHI』でアメリカに借りを返そうかと】

――なるほど。リピーターさんも多くなっていますか。

山口 開店して1年4カ月ほどになりますが、おかげさまで多くの方にリピートしていただいています。元プロ野球選手の私ではなく、店の味に惚れてくださって何度も足を運んでいただくお客様もいるので、そこはありがたいですね。もちろん、私にお話を聞きたいという野球ファンの方がいらっしゃれば、裏話とかいくらでもお話します(笑)。

――(笑)。飲食店のオーナーとして、どこにやりがいを感じていますか。

山口 お客様を満足させるのはもちろん、やはり従業員が働いて良かったと思ってくれることが、経営をする者としてのやりがいだと思っています。個人経営の小さなお店ですが、毎日の予約状況は気になりますし、どうやって店の質を高め、集客していこうか。そんなことを毎日考えることが面白いんですよね。

――経営者として何か今後の夢はありますか。

山口 実は来年、アメリカに進出しようと画策しています。野球ではアメリカで成功できなかったので、『TANIARASHI』で借りを返そうかと、今その準備をしているところなんです。

――それは面白いチャレンジですね。

山口 それから、恵比寿でエステサロン店も経営していて、まずはこのふたつを大きくしていけたらなと考えています。それに付随しアスリートのセカンドキャリアを受け入れていく会社にしていきたいという希望もあります。少しでも野球に恩返しができたらなって。

――山口さんの事業家としての歩み、楽しみにしています。

山口 ありがとうございます。いいサービスを提供できるよう、今後も精進して参ります。皆さん、ぜひ『TANIARASHI』へ足を運んでください。従業員一同、お待ちしております!

【Profile】山口俊(やまぐち・しゅん)
1987年7月11日生まれ。大分県中津市出身の元プロ野球選手。大相撲の元幕内力士である谷嵐関を父に持つ。甲子園に2度出場し、2005年の高校生ドラフトで横浜ベイスターズ(当時)から1位指名を受け入団。2009年のシーズン中にクローザーとして頭角を現し、2010年から2年連続で30セーブを記録。その後先発に転向し、自身初となる二桁(11勝)勝利をあげた2016年オフにFAで巨人に移籍。2018年には平成最後となるノーヒットノーランを達成。2019年は勝利(15勝)、勝率(.789)、奪三振(188)の3冠に輝く。2019年オフに、巨人の選手としては初となるポスティングシステムによる移籍でMLB挑戦を表明。2023年春に現役引退を表明した。現在は東京・六本木でちゃんこ店『TANIARASHI』を経営している。日米通算460試合に登板し、68勝70敗112セーブ。

<山口俊さんのインタビューの動画はこちら>

『TANIARASHI』
東京都港区六本木5-18-20 ファイブビル 103
TEL:03-6441-0212
https://www.instagram.com/taniarashi.roppongi/
創業から57年続いている秘伝の出汁で作る『寄せ鍋ちゃんこ』の他、大分料理を堪能できる。

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