牧秀悟が明かすヌートバーとの友情秘話「たっちゃんにしかできないこと」 善光寺の勝守、カラオケ、大谷翔平...... (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton

 チームがひとつになるきっかけをつくったのは、侍ジャパンで初めてとなる外国人選手のヌートバーであったことは間違いない。

 ヌートバーはMLBのセントルイス・カージナルスに所属しているため、チームに合流したのは本戦が始まるわずか6日前。しかも、日本でプレーする選手とは誰ひとりとして面識がなかった。そのヌートバーにとって、大きな存在のひとりが牧だった。

 ヌートバーがチームに早く溶け込めるよう、牧は練習の時から積極的に話かけた。それはグラウンドだけではなかった。侍ジャパンの思い出について、ヌートバーはメンバーたちとカラオケに行ったことを挙げ、なかでも「一番歌がうまかったのは牧」と語っている。そのことを牧に伝えると、「カラオケ......!?(笑)」と言って、こう続けた。

「カラオケというか、みんなで焼肉を食べに行ったときだと思います。たっちゃんが来てくれたので、みんな盛り上がったんです」

 牧が歌った日本語の歌詞の意味はわからなかったが、チームに合流して間もないにもかかわらず、素の姿を見せてくれたことにヌートバーは感謝した。

【ヌートバーの果たした役割】

 こうした牧の気遣いもあって、日を重ねるごとにチームに馴染んでいったヌートバーだが、じつは侍ジャパンをひとつにさせるのに、とても大きな役割を担っていた。

 侍ジャパンのメンバーで、大谷翔平と一緒にプレーしたことのある選手はほとんどいなかった。大谷は2017年オフに日本ハムからメジャーに移籍したため、2018年以降にプロ入りした選手にとっては、テレビに映る姿しか知らない。そのため、大谷とどう接したらいいのかわからない選手が多く、2020年にドラフト指名されDeNAに入団した牧も、そのなかのひとりだった。だが、ヌートバーの大谷に対しての「自然な振る舞いに助けられた」と、牧は言う。

「たっちゃんと大谷さんが練習中や試合中にハイタッチをしたり、和気あいあいとした雰囲気で触れ合っているのを見て、『(大谷に)こういう感じで接してもいいんだ』と思いました」

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