オリックスT−岡田が挑む覚悟の2024年シーズン 「今年ダメならもうあとがない」

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

オリックス・T−岡田インタビュー(後編)

前編:昨年0本塁打の元キングが今季にかける思いはこちら>>

 試合終盤、T−岡田の名が球場内にコールされると、ノリのいいチャンステーマに合わせ、スタンドの熱が一気に上がる。ファンは手にしたタオルを激しく振り回し、盛り上がりは最高潮へ。本人の成績に反比例するように、岡田への応援は年々、熱を増している。

 低迷期からオリックスを支え続けてきた男。近年のオリックスの強さが語られるなかで、しばしば岡田にはこうした説明が入る。だからファンの思いも強い、と。オリックスに入団した2006年から3連覇が始まる前年の2020年までの15年で区切ると、その間チームは6度の最下位を含め、じつにBクラス13回。もちろん優勝はない。

 今の強さのせいで忘れてしまいそうになるが、つい最近までオリックスはそういうポジションのチームだった。それが2021年に2年連続最下位から一変、25年ぶりのリーグ優勝を果たすと、そこから3連覇。2022年には日本一にも輝いた。岡田はあまりに鮮やかなチームの変わり身を、中からどう見ていたのだろう。

リーグ4連覇に挑むオリックスのT-岡田 photo by Koike Yoshihiroリーグ4連覇に挑むオリックスのT-岡田 photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る

【ベテランって何ですかね(笑)】

「昔は何をやってもうまくいかなかったのに、勝つ時はことごとくうまくいくというか、それが今も続いている感じです。でもやっぱり、(監督の)中嶋(聡)さんがすごいです」

 あらためて感じる、中嶋監督のすごさとは何なのか。

「やっぱり一番は選手起用ですね。使われた選手が結果を出すということは、それだけいいモチベーション、いい状態でグラウンドに立てているから。その持って行き方がうまいんだと思います」

 ここ2年、自身は期待に応えらずにいるが、ベンチへの信頼は言葉から伝わってくる。勝負の世界では、成績の出ていないベテランとベンチとの関係は、時に危うい空気が漂い、チームを巻き込んでのトラブルに発展することもしばしばある。

 しかし岡田にその類の不安は皆無。こういうところにも岡田の得難いキャラクター性を感じるが、気がつけば36歳。球界を見渡すと、同級生もチームメイトの安達了一、炭谷銀次朗(西武)、祖父江大輔(中日)、角中勝也(ロッテ)、川端真吾(ヤクルト)、大和(DeNA)の6人を残すのみ。少しすれば、年齢的な大台も見えてくる。

「40歳って感じは、今はまだないですけど、体のほうはそれなりにきているといえばきてます(笑)」

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