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大阪観光大初のプロ野球選手、広島・久保修は新井貴浩監督も認めたポテンシャルで熾烈な外野手争いに参戦

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun

 2024年プロ野球ペナントレースがついに開幕した。昨季セ・リーグ2位からのひとつ上の頂点を目指す広島の開幕一軍メンバーは、外国人を除けば、昨季いた顔ぶれが並ぶ。そのなかでただひとり、昨季一軍出場のない選手が開幕一軍に選ばれた。2年目の久保修(しゅう)だ。

プロ2年目で初の開幕一軍を果たした広島・久保修 photo by Sankei Visualプロ2年目で初の開幕一軍を果たした広島・久保修 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【昨季二軍で打率.190】

 昨季は一軍出場が一度もないどころか、春季キャンプも二軍スタート。二軍で主力としてプレーしてきたわけでもなかった。

 キャンプ早々に左手首を捻挫し、その後も左ハムストリングスの張りなど下半身に不安がつきまとった。9月20日に体調不良の秋山翔吾に代わり、一軍初昇格も出場機会がないまま二軍へ逆戻りとなった。

 ウエスタンリーグ61試合出場は、昨季チームのなかでも8番目の数字であり、打席数(125打席)は16番目の数字だった。二軍でも思うような実戦経験を積むことができず、なにより打率.190という成績からは、とても2年目に一軍の外野手争いができるとは思えなかった。

 ただ、久保にはプロ入りの扉をこじ開けたポテンシャルがある。

 2022年ドラフト7位で広島に指名され、大阪観光大学から初のプロ野球選手として話題となった。大学時代から関西圏では「いい選手がいる」という噂には挙がっていた。担当の鞘師智也スカウトは、半信半疑で足を運んだ当日のことを懐かしそうに振り返る。

「本当にそんな選手いるのかなと見に行ったら、試合前のキャッチボールですぐに『あいつや!』とわかった。すごい球を投げていましたから。試合を見たら、足も速いし、守備もうまい。バッティングも......悪くはないと思った。たしかに、一番劣るのはバッティングだけど、よくなると思いました」

 その後、久保がケガをしたこともあり、他球団のスカウトの評価がそこまで上がることはなかった。そんななか、広島は育成ドラフトではなく、本ドラフトでの指名となった。

「1年目から守備と足は通用すると思っていた。ただ経験がないので、1年目はファームで1年間出られたら100点という話はしていました」

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著者プロフィール

  • 前原 淳

    前原 淳 (まえはら・じゅん)

    1980年7月20日、福岡県生まれ。東福岡高から九州産業大卒業後、都内の編集プロダクションへて、07年広島県のスポーツ雑誌社に入社。広島東洋カープを中心に取材活動を行い、14年からフリーとなる。15年シーズンから日刊スポーツ・広島担当として広島東洋カープを取材。球団25年ぶり優勝から3連覇、黒田博樹の日米通算200勝や新井貴浩の2000安打を現場で取材した。雑誌社を含め、広島取材歴17年目も、常に新たな視点を心がけて足を使って情報を集める。トップアスリートが魅せる技や一瞬のひらめき、心の機微に迫り、グラウンドのリアルを追い求める

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