「松井稼頭央監督は去年、苦しんだ部分もあったと思う」平石洋介が痛感したヘッドコーチの難しさ「確認しすぎることで監督を迷わせてないか...」 (4ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki

 今シーズンはその再現性をより高められる選手の出現を監督は望み、公言するようにポジションに空きはある。だからといって台頭するまで気長に待つ気はなく、「つかみとれ」とハッパをかける。

 固定されているのはせいぜい、セカンドの外崎修汰とショートの源田壮亮の二遊間くらいだ。キャリアハイの91試合に出場したサードの佐藤龍世は、平石から言わせれば「スタート段階で半歩抜けているくらい」と鼓舞する。一発のある渡部健人にしても「打線に落ち着いてくれると面白い」と期待はするが、メジャーリーグ通算114ホームランのヘスス・アギラー、身体能力の高いフランチー・コルデロの新外国人との厳しい競争に身を置かせる構えだ。

 ここに、打力が売りの蛭間拓哉、機動力と守備に安定感のある岸潤一郎、平沼翔太、児玉亮涼らが名を連ねる。

 1試合1点の上積み。難題に挑む西武のポジション争いは熾烈を極め、昨シーズンから紡ぐ、次につなげる野球も試される。

 平石は言う。

「当たり前のことを当たり前のようにやる。これは去年と変わりません。今年はさらに、当たり前のように上を目指せるチームにならないといけないですよね」

 昨シーズン5位のチームが顔を上げる。

「やるしかない!」と選手が吠える。獅子の気概にファンがかつての強者の姿を重ね、背中を押す。


平石洋介(ひらいし・ようすけ)/1980年4月23日、大分県生まれ。PL学園では主将として、3年夏の甲子園で松坂大輔擁する横浜高校と延長17回の死闘を演じた。同志社大、トヨタ自動車を経て、2004年ドラフト7位で楽天に入団。11年限りで現役を引退したあとは、球団初の生え抜きコーチとして後進の指導にあたる。16年からは二軍監督、18年シーズン途中に一軍監督代行となり、19年に一軍監督となった。19年限りで楽天を退団すると、20年から2年間はソフトバンクのコーチ、22年は西武の打撃コーチとなり、23年に西武のヘッドコーチに就任した。

著者プロフィール

  • 田口元義

    田口元義 (たぐち・げんき)

    1977年、福島県出身。元高校球児(3年間補欠)。雑誌編集者を経て、2003年からフリーライターとして活動する。雑誌やウェブサイトを中心に寄稿。著書に「負けてみろ。 聖光学院と斎藤智也の高校野球」(秀和システム刊)がある。

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